各交通機関のお盆期間中の利用状況が19日までに出そろった。ETC割引実施によりマイカー利用への乗客流出が懸念されたJR6社はいずれも新幹線や在来線特急などの利用客が前年比10%程度の減少。航空便も近距離路線を中心に伸び悩み、鉄道、空路ともにETC割引のあおりを受けた。一方、高速道路は、ETC割引とガソリン価格の安定などから交通量が激増。全国各地で長距離の渋滞が多発したほか、各サービス、パーキングエリアはトイレの順番を待つ人などでごった返した。道路の混雑で遅延などが心配された高速バスは、大幅な遅れもなく利用者を伸ばした。
■JR
管区別の7〜18日の利用状況のうち、JR北海道の主要4線区での特急、急行利用は、前年比9%減の43万7400人。
JR東日本の主要18区間の新幹線、特急、急行の利用者数は、同7%減の546万8千人。このうち新幹線は同6%減、在来線は10%減だった。主要駅での近距離きっぷの利用状況は、博覧会「恐竜2009」の最寄り駅である千葉・海浜幕張駅(同11%増)、開国博Y150の最寄り駅である神奈川・桜木町駅(同11%増)の利用が増えた。
JR東海は新幹線が同8%減の363万4千人、在来線特急が同14%減の23万4千人だった。JR西日本は、新幹線が同9%減の186万6千人。在来線特急は同13%減の106万4千人。
JR四国は9、10日の台風9号の接近に伴う大雨の影響などから列車484本が運休。主要3線区の利用者は、同15%減の17万1300人。
JR九州の主要在来線3線区の利用者は、同6.1%減の72万6千人。新幹線は同13.6%減の13万7千人だった。
■航空便
国内航空便の7〜16日の利用状況は、ANAグループが、前年同期比10.2%減の129万6555人。利用率は67.5%で、前年を5.0ポイント下回った。方面別では関西(前年比1.4%減)、沖縄(同5.0%減)以外は2ケタの減少。利用率は、沖縄(75.0%)、北海道(71.6%)が7割超えした。
JALグループ(日本航空、ジェイエア、JALエクスプレス)の旅客数は116万7465人で同7.0%減。予約状況よりも3ポイントほど改善したものの低調。利用率は前年を3.0ポイント下回る71.0%だった。方面別の旅客数は、各方面とも前年からの減少率が1ケタだった。このうち関西方面(同1.4%減)の減少率が最も小さい。利用率では、沖縄(75.3%)、北海道(74.0%)、関西(72.3%)、九州(70.6%)が7割を超えた。
エア・ドゥの旅客数は、同1.7%減の5万1447人だった利用率は前年を1.6ポイント下回る83.3%だった。
スカイマークの旅客数は、同0.9%減の9万6929人だった。利用率は前年比3.8ポイント増の87.5%と堅調だった。方面別の利用者数は、羽田〜札幌線(同16.5%増)、羽田〜那覇線(同10.8%増)が好調だった。
スカイネットアジア航空は、同2.4%減の3万5761人。利用率は84.0%だった。
スターフライヤーは、同0.5%増の3万2930人。利用率は前年から0.7ポイント減少し85.9%だった。
■高速道路
ETC割引がお盆期間の平日にも拡充されたことで長距離にわたる渋滞が心配された高速道路。地震による東名道の不通などもあり、事前の予測値は下回ったものの、前年を大きく上回る回数の渋滞が発生した。
6〜16日の主要区間(23断面)の1日あたりの平均交通量は、前年比14%増の5万4500台。10キロメートル以上の渋滞は、同64.4%増の498回、30キロメートル以上の渋滞は同134.8%増の54回発生した。このうち最も長い渋滞は、8月13日午前4時ごろに東北道下り線・矢板北パーキングエリア付近で発生した、69.0キロメートルの渋滞だった。
■高速バス
高速バスのうち、高速ツアーバスを運行するウィラー・トラベルの利用者数は、総取扱人数が前年比24%増の5万8600人。ETC割引による高速道路混雑や、11日の駿河湾での地震による道路不通の影響が懸念されたが、「大きなトラブルはなかった」(同社)。
楽天トラベルが予約を受けた高速バスの利用状況は、前年比39.3%増。路線別では、首都圏〜新潟(同210.2%増)、首都圏〜盛岡・弘前・青森(同145.1%増)、首都圏〜秋田(同41.0%増)。便数を増やした地方路線を中心に大幅に利用者数を伸ばした。