じゃらんのトップに就任 リクルート旅行 Division Vice President 大野雅矢氏に聞く


リクルート旅行 Division Vice President 大野雅矢氏

4月宿泊予約が過去最高 オールリクルートで貢献

――じゃらんのトップに4月1日、就任された。

 「リクルートのVP(ヴァイスプレジデント)で旅行ディビジョン担当。リクルートの旅行事業部門の責任者ということになる。2005年にリクルートに入社し、求人情報サービスのタウンワークに配属。09年に旅行事業に異動してからは、じゃらん一筋だ」

――前任の宮本賢一郎氏は、じゃらんのトップを12年間務められた。

 「ずっと宮本の元で宿泊施設さま、地域の皆さまのお世話になってきた。その恩返しをさせていただきたいし、日本の観光産業の発展に少しでも貢献できるように尽力していきたい」

――直近は北海道じゃらんの社長をされていた。

 「30年続いた北海道じゃらんは4月からリクルートに統合され、旅行ディビジョン北海道事業部となった。事業部長は私が兼務している」

――リクルートライフスタイル沖縄も別会社だ。

 「北海道は旅行事業のみだったが、沖縄は飲食、ビューティー、DXソリューションのAirビジネスツールズなど複数の事業を束ねる地域会社で、少し性質が異なる。リクルートライフスタイル沖縄の代表取締役の田中政宏も旅行事業が長かったので、連携はうまくいっている」

――「SaaS領域統括」という肩書きもお持ちだ。

 「SaaS領域統括の下に旅行ディビジョン、飲食ディビジョン、ビューティディビジョン、Airビジネスツールズを中心としたSaaSディビジョンの四つがぶら下がっている形。これらはリクルート本体に統合された旧リクルートライフスタイル社の事業領域だった。日常消費の領域に近いセクションが一堂に会して、より密に連携していくことを目指した組織改編だ」「さまざまなOTA、旅行会社が存在する中で、リクルート旅行ディビジョンの特長は、基本機能である集客・販促のお手伝いに加えて、業務効率改善や生産性向上などあらゆる側面での課題解決のサポートをさせていただけることだ」

――じゃらん全体の今年の売り上げ予測はどうか。

 「足元の業績は極めて堅調に推移している。昨年5月のWHO『新型コロナ緊急事態宣言』終了の発表以降、大きく風向きが変わった。今年の4月は、じゃらんnetの宿泊予約の月間予約取扱額が過去最高を記録した(22年10月全国旅行支援影響除く)。日本市場は今世界から注目されている」

――じゃらんnetは国内客向けの旅行・宿泊予約サイトだが、過去最高を記録した4月実績にはインバウンドも入っているのか。

 「入っている。『グローバル集客サービス』で、中でもグローバルエージェントサービスという海外のOTA・旅行会社を通じてインバウンド宿泊客向けに客室の予約販売を行っているサービスの高い伸び率が続いている」

――24年、じゃらんは何に注力していくのか。

 「じゃらんの目指すゴールは、これまでと同様で『総地域消費額の増加』だ。観光産業全体の課題は複雑化している。現在のキーワードはやはり観光需要急回復に伴う『人材不足』。それによって受け入れ側の観光地と観光事業者の『体制不足』も課題になっている。リクルートには創業事業である人材領域もあるし、業務・経営支援のSaaSもある。オールリクルートのサービスを活用しながら観光事業者の皆さまの人材不足が引き起こす課題の解決をサポートさせていただく。地域の魅力づくりでは、じゃらんリサーチセンターが引き続き全国各地のお手伝いをさせていただく。上流から下流まで一貫してサポートさせていただけるのが、じゃらんの強みだと思う」

――リクルートが提供するサービスは、ユーザーの心をつかむのがうまい。

 「じゃらんnetは旅行に関わるあらゆる情報を集めて掲載している。ワンストップで旅行情報を収集し、旅行予約ができるように工夫している。『遊び体験予約』サービスは、旅ナカでのアクティビティ予約では国内有数の規模を誇っている。また、リクルートポイントをAmazonでのお買い物で使えるようになり、よりリクルートポイントの利用範囲が広がり便利になった。ユーザーの方々に喜んでいただきたい、じゃらんnetをリピータブルに使っていただけるサイトにさらに進化させていきたいという思いで行っている」

おおの・まさや 2005年12月リクルート入社。17年4月旅行事業シティエリア・チェーン法人担当営業部長、22年4月リクルート北海道じゃらん代表取締役社長などを歴任。24年4月リクルートDivision統括本部SaaS領域統括旅行Division Vice Presidentに就任。【聞き手・江口英一】

 
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