
記者からの質問に応える鈴木理事長(3月21日、同信金金沢本部)
のと共栄信用金庫(石川県、鈴木正俊理事長)は、金融機能強化法の「コロナ特例」に基づき、金融庁から公的資金の受け入れを検討していることを明らかにした。コロナ禍直後の2024年1月に発生した能登半島地震により地域経済が甚大な被害を受け、足元では当初予想よりも復興資金需要が伸び悩んでいることなどから、震災の影響が長期化すると判断。25年度中にも金融庁へ利用を申請する予定だ。
鈴木理事長が3月21日に明らかにした。背景として、震災により能登地域が抱えている二つの課題を指摘する。【記事提供:ニッキン】
一つは復興資金需要の見通しが立たないこと。本店を置く七尾市内では和倉温泉一帯が大きな被害を受けた。復旧作業は進んでいるものの、被害が深刻で旅館業などは再建に時間を要しており、資金需要が出てきていない。また、輪島市や珠洲市でも住民の生活再建が進んでおらず、それに伴い消費者ローンの申し込みが低調だ。
もう一つは、能登地域からの人口流出だ。震災以降、避難のため被災地を離れる人が急増しそのまま居住地を移す人も多い。それにより地域経済が縮小し、商業の衰退も懸念されているからだ。
こうした影響は将来、同信金の経営にも少なからず影響を及ぼす可能性があることから「予防的措置」(鈴木理事長)としてコロナ特例の活用を協議している。
なお、同信金は現在の経営状況について「十分な収益力、自己資本を持っている」(同)と強調する。同日公表した25年3月期決算予想では、コア業務純益(投資信託解約損益除く)は8億9500万円(前年同期比15.3%増)、当期純利益は3億9300万円(前年同期は震災関連の不良債権処理費用を計上し38億5900万円の赤字)と黒字転換を見込んでいる。自己資本比率も11.41%(前年同期比0.31%増)を見通す。
【記事提供:ニッキン】
記者からの質問に応える鈴木理事長(3月21日、同信金金沢本部)