やまがた女将会(山口秀子会長=天童温泉・栄屋ホテル)は5日、東京の観光経済新聞社を訪問した。コロナ下での会員施設の入り込みなどについて同社・積田朋子社長と意見を交わし、同県の観光コンテンツや今秋以降の施策などについて話し合った。
「ようやくコロナ禍前並みに」
山口会長は冒頭「観光経済新聞社が掲げる『観光立国の実現は、地方(地域)から』の思いのもとコロナ下でも頑張って、ここ数カ月ようやく以前並みにお客さまが来て下さるようになった」と現況について報告。前会長で顧問の川﨑禮子さん(蔵王温泉・ルベール蔵王)も「蔵王温泉もコロナ禍前は国内外から多くのお客さまが来てくれていた。厳しい状況が続き、まだ安心はできないが、前を向いて頑張っていきたい」と意気込んだ。副会長の五十嵐律子さん(東根温泉・旅館さくら湯)は自館での取り組みを踏まえながら、「若女将が奏でる琴の音色を聞きながらお食事を堪能してもらうのがお客さまに好評で、『2泊させてほしい』というお声も頂戴する。そのような努力が誘客につながっている部分もあるが、やはり山形県民対象の県民割の影響が大きい」と話した。
自然を守り、誘客に生かす
同会顧問で山形県観光物産協会の小野真哉専務理事らは、山形県の観光施策について説明。8月11日には第6回「山の日」全国大会が蔵王や上山を中心に実施され、多くの来客があったことについて言及した。小野専務理事は「今回の山の日を機に、蔵王で樹氷を形成する『アオモリトドマツ』の維持、再生に関連する取り組みを全国的に行っていこうという気運が高まった」と回顧。「環境保全的な動きの進展に加え、一昨年には『やまぎん県民ホール』(山形市)が新設され、文化的な側面からの誘客も期待できる」と話した。
コロナ禍を受けて屋外での自然体験型アクティビティのニーズが高まる中、脚光を浴びている出羽三山についても触れ「精神文化を感じる体験を前面に押し出すために『ウインターアドベンチャートラベル』と銘打ち、出羽三山と蔵王をつなぎ、氷瀑の裏側を見学するツアーや、出羽三山での山伏体験を冬に行う企画などを立てている」と話した。同県と観光物産協会は個人旅行の誘客に加え、県内の庄内、村山、置賜、最上の各エリアに「学び」を得られる多種多様な観光コンテンツを設けるなど、豊富な自然や観光施設を教育旅行誘致へと生かす活動にも注力している。「庄内空港、山形空港のいずれも東京から1時間ほどで来られる。国内のお客さまはもちろん、山形県との交流が盛んな台湾をはじめ海外からも多くの方に訪れてもらいたい」と呼び掛けた。
食の魅力に自信あり
山形県の魅力について山口会長が「山形は食が自慢。水良し、米良し」と話すと、川﨑さんも「さくらんぼやりんご、いちごなどの果実も国内外問わず多くの方に喜んでもらえる」と共感し、五十嵐さんも「さくらんぼなどは一つ一つの粒の大きさに驚かれるお客さまもいるが、皆さんたくさん召し上がって下さる」と振り返った。「つや姫」や「雪若丸」などの同県独自のブランド米や、野菜、畜産の特産品も含め、豊かな自然を背景とした食の魅力に自信を見せた。
やまがた女将会の一行(右から3人目が山口会長)