やまがた女将会が観光経済新聞訪問 入り込み状況、取り組みなど説明


やまがた女将会のメンバー。左から順に丸森千鶴子氏(赤湯温泉・丹泉ホテル)、川﨑氏、佐藤氏、東海林るみ氏(東根温泉・民謡の宿 あづまや)

 やまがた女将会(山口秀子会長=天童温泉・栄屋ホテル)は4日、東京の観光経済新聞社を訪問し、現在の山形県の観光客の入り込み状況や、コロナ禍収束後の魅力発信に関する取り組みなどを話した。

 山形県観光物産協会の安孫子義浩専務理事(兼DMO推進室長)は現況について「コロナ禍前比8程度、という印象。冬場の雪を見るために台湾、あるいは東南アジアから多くの方がいらしている」と説明。「ゴールデンウイーク後に少し入り込みが落ち着いたが、これから山形が強みを見せる冬季を迎えるので、積極的な誘客に努めたい」と意気込んだ。

 今秋から今冬にかけては、「10月15日から山形空港に台湾からのチャーター便が16往復(32便)離発着する。まだ予定段階だが、12月から来年3月にかけて冬季の長期チャーターを中華航空が飛ばしてくれる」(安孫子専務)と、台湾からのさらなる誘客増大を後押しする環境が整いつつある。

 山形を訪れる目的について安孫子専務は、「従来のスキー客よりも、樹氷の鑑賞を目的に来県する人が増えた。樹氷ツアーなどは好評を博している」と分析。昨年から同県が注力している、蔵王で樹氷を形成する「アオモリトドマツ」の維持、再生に関連する取り組みについては、今年3月に樹氷再生のプロジェクトを立ち上げ、その動きをさらに加速させている。蔵王連峰の地蔵山の西斜面を中心にアオモリトドマツ帯が発達し、冬季には見事な樹氷林を形成しているが、安孫子専務いわく「山頂部分は枯れてしまっている」という。「再生まで約70年かかる。それを復活させるため、中腹から小さい苗木を持っていき、山の上部で育てる取り組みを3年前から実施し、現在まで120~130本ほど根付いている」と、活動が結実しつつある。

 同県は「ウインターアドベンチャートラベル」を昨年から全面に打ち出し、自然体験型アクティビティのニーズへの対応を進めている。その実現に向けての鍵は「全体をコーディネートできる優秀なガイドの確保」(安孫子専務)だという。樹氷に加え出羽三山、氷瀑など県内各地の自然資源を生かした誘客に力を注いでおり、インバウンドの個人・団体顧客、国内の教育旅行など、さまざまなニーズに対して提供できる観光素材の磨き上げに加え、それらを魅力的に発信できる人材確保と育成も推進していく方針だ。

食の魅力にさらなる磨き

 安孫子専務のほか、同席したやまがた女将会顧問の川﨑禮子氏(蔵王温泉・ルベール蔵王)、同顧問の佐藤洋詩恵氏(かみのやま温泉・日本の宿 古窯)らが口をそろえたのが山形県の食の魅力。今年6月にリリースされたさくらんぼの大型品種「やまがた紅王」は、直径で500円玉ほどの大粒が特徴的な商品で、今年度は約20トン収穫し、次年度は倍の約40トンの収穫を見込む。芳醇な甘みに加え、最長で2週間程度冷蔵庫保管しても、形を維持して身崩れすることがないため、出荷先のマーケットとして従来までの関東圏に加え近畿や九州、海外への輸出も見据えている。

 銘柄米「つや姫」は、全国各地の小売店へと販売網が広がり、ハワイや台湾、シンガポールでも流通している。山形の主力銘柄「はえぬき」とともに、同県の米のおいしさを国内外の人々に届けている。

 

あと500メートル延伸で

 エアラインでの同県への送客促進の観点では、佐藤氏が「山形空港と庄内空港の滑走路の延伸」を訴えた。

 国内線の運航に必要となる滑走路長に「大型ジェット機は原則として2500メートル、中小型ジェット機は2千メートルの滑走路長を確保するものとする」(国土交通省ホームページから)との規定があり、滑走路が2千メートルの山形県内の両空港は現在、大型ジェット機が離発着できない状態となっている。「山形新幹線が開通した時にも、東京からつながったことで『多くのお客さまに来てもらえる』という希望が生まれ、どれだけ励みになったことか。山形、庄内各空港の滑走路が延伸し、東京や近畿圏等とより強くつながれたら、こんなにうれしいことはない。だから何とかあと500メートル延伸を…」と熱弁。併せて「国内外の人たちに向けて『おいしい山形空港』『おいしい庄内空港』をアピールしたい」との思いを語った。

 

やまがた女将会のメンバー。左から順に丸森千鶴子氏(赤湯温泉・丹泉ホテル)、川﨑氏、佐藤氏、東海林るみ氏(東根温泉・民謡の宿 あづまや)

 
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