「新・観光立国論」などの著書で知られる小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏は、観光庁のDMO全国会議で基調講演を行った。訪日インバウンドはコロナ禍から回復し、欧米豪の旅行者も増加しているが、今のままでは伸び率の鈍化により、2026年には4千万人程度で頭打ちになる可能性があると指摘。国主導の観光施策の効果には限界があり、今後はDMO(観光地域づくり法人)が果たす役割が大きくなるとして、DMOに求められる10の役割について提言した。
25年の訪日外国人旅行者数は、中国の回復が進むなど、現在の基調で推移すれば、3900万人弱が見込まれると予想。ただし、各国・地域の19年対比の伸び率が低迷し始めていることから、26年に関しては、今の政策のままでは4千万人にとどまるか、前年を下回る可能性があると指摘した。
アトキンソン氏は「2026年の横ばい、もしくは若干減少することを防ぐためには、政策、戦略の変更が必要だ。これまでのインバウンドが国主導だったことは否定できないと思うが、国の観光施策に関しては効果が出尽くしており、口コミを活用した誘客など、新しい観光戦略が必要になっている」と述べた。
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