アレルゲン対応製品の拡充 味の素冷凍食品 阿部氏に聞く 


秋季新製品9品をリリース 鶏肉のラインアップを強化

 味の素冷凍食品は、味の素グループならではの付加価値「おいしさNo.1」「楽しさ」「健康・栄養」「環境への配慮」を提供することで、社会課題解決や生活者ニーズに対応し、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)を提唱している。

 昨今の人手不足に頭を抱える旅館・ホテルの課題に寄り添い、貢献する製品とサービスの提供を図っている。

 昨年8月からは、業界に先駆けて「健康・栄養」の独自価値に基づく修学旅行生をターゲットにした特定アレルゲン不使用製品のラインアップを拡充している。フードサービス事業部フードサービス開発グループの阿部裕太郎氏=写真=に、製品の特徴や、今後の方針を聞いた。

 ――修学旅行生など団体客を数多く受け入れる宿泊市場のアレルゲン対応の現状について、どう認識しているか。

 アレルゲンの課題を持つ学生の食事は全て個別で対応している施設が数多く存在する状況で、慢性的な労働力不足や、調理・設備などの課題を抱える中で、対応に苦慮している様子が見受けられる。

 ――アレルゲン対応製品および、8月9日から発売を展開する秋季新製品の紹介を。

 アレルギーの原因食物は「小麦・鶏卵・牛乳」で約6割を占める(出典‥消費者庁『令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書』)。

 今回新たに、秋季新製品として、グリルチキンソルトをはじめ、同ハーブや炭火若鶏きじ焼き醤油(しょうゆ)などを含む「特定アレルゲン不使用」シリーズ9品を発売した。

 昨年8月から販売する若鶏の唐揚げと、国産鶏のレモンバジルナゲットと同様に、小麦・卵・乳成分の三大アレルゲンが不使用なことに加えて、スチームコンベクションオーブン調理や自然解凍でアレルゲンコンタミを軽減した調理・提供が可能な点が最大の特徴。

 それに加えて、グリルタイプのメニューかつ、サイズ・味など9点ものラインアップを拡充したことで、提供場面・方法に応じてサイズや味を選択できる。

 特にヒマラヤ産岩塩を使用したグリルチキンソルトと5種のハーブのトッピングをしたグリルチキンハーブの2種については、アレルゲン不使用化を行う前から品質評価が高く、宿泊市場での活用が目立っていた。

 容量も120グラムタイプで、ビュッフェでの提供時にはカットすることで手作り感のある本格的なメニューになり、1人前ごとに提供する際にはボリュームのある主菜メニューとして、幅広い場面での提供を実現する。

 ――製品のラインアップの拡充に至った経緯と苦労した点は。

 先の若鶏の唐揚げと国産鶏のレモンバジルナゲットの開発時に旅館・ホテルからのコンセプト評価が高かったことから拡充を図った。
 
 同時に、各宿泊施設に話を伺う中で、同じメニューを出せないといった連泊対応に苦慮している様子をきっかけに、前回とは異なるグリルメニューへの展開を進めた。

 ベースとなる製品があったことから、おいしさはそのままにアレルゲン不使用化を実現するべく、開発期間は約1年を要した。

 ただ、従来の唐揚げと製造工場は同じだが、製造ラインが異なり、初めてアレルゲン不使用化を行うラインのため、工場や研究開発のスタッフにアレルゲン不使用化に向けた管理・運営の協力を仰ぎ、他のラインからの飛散防止の対策を含めた新たな運用を行った。

  ――チキンのラインアップが充実している。

 各宿泊施設に話を伺ったところ、例えば米飯メニューであれば“白米”、野菜メニューであれば“サラダ”、スイーツ類であれば“フルーツ”というようなアレルゲンに配慮しつつ全員に提供できるようなメニューが存在する一方で、肉系のメニューは大量調理となると難しく、個別対応をしなければならないなど対策に苦慮している。

 さらにその中でも主菜はアレルゲン対応が必須で、メイン食材は全員に同じものを提供したいというシェフの声があった。

 その意見を踏まえて主菜になりさまざまな調理方法があるものかつ、弊社に知見がありスピード感を持って対応できるものということで鶏肉製品のラインアップを強化した。

 ――アレルゲン対応製品の宿泊市場での活用事例と、今後の展開については。

 製品のコンセプトや品質、調理方法について、一定の評価をいただいている。修学旅行のメニュー選定は1~2年前から始めるため、まだ実際の導入事例は少ないが、少しずつ認知が広がり、採用実績が増えている。

 また、前回と今回のアレルゲン不使用製品の評価や提供実態を確認し、今後の製品展開や製品改訂、販売施策について検討を続けていきたい。

 ――宿泊施設をはじめ、旅行会社・学校関係者にメッセージを。
 
 旅行会社などは、団体での食事の際は前もって食事会場に行き、アレルゲン対応の現状を確認するなど、食物アレルゲンに対する関心は非常に高く、苦心されていると認識している。安全管理面において、修学旅行や合宿などに関わる全ての方に寄り添い、サポートできるよう取り組んでいきたい。

 ※ご使用の際は、アレルゲン含有製品と接触しないよう、十分ご注意ください。

 ◆   ◆

 味の素冷凍食品 本社=東京都中央区銀座7の14の13日土地銀座ビル▽資本金=味の素100%出資▽従業員数=約2800人▽事業内容=冷凍食品の研究開発、製造、販売▽連絡先=TEL03(6367)8600(代表)。


阿部氏

 
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