今年も残り1カ月余り。2024年のインバウンドは、旅行者数3500万人、旅行消費額8兆円が視野に入っている。いずれも過去最高の実績となる。ただ、インバウンド増加の恩恵は全国津々浦々に及んでいるとは言い難い状況だ。訪日外国人旅行者の滞在先が大都市圏に偏る傾向があり、地方への誘客、地方での消費拡大が課題となっている。観光が「地方創生の切り札」たり得るのか、今後の観光施策にかかっている。
「インバウンドは過去最高ペースで推移しており、非常に好調だ」。第2次石破内閣の発足に伴い就任した中野洋昌国土交通相は11月13日の専門紙向け会見でこう述べ、従来の政府目標通り、2030年に訪日外国人旅行者数6千万人、その旅行消費額15兆円を目指す考えを示した。
24年1~10月累計の訪日外国人旅行者数は、日本政府観光局(JNTO)の推計値で3019万人。統計上、11月、12月と2カ月を残しており、コロナ前の19年に記録した最高値3188万人を上回るのは確実だ。
訪日外国人旅行消費額も、人数の増加に加え、円安などを背景に1人当たりの旅行支出が伸びて好調だ。観光庁の速報値で24年1~9月期は5兆8582億円。第4四半期を残して過去最高だった23年の年間消費額5兆3065億円を上回った。
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