入国制限、査証、個人不可で日本出遅れ
日本政府観光局(JNTO)は7、8日、自治体やDMO、観光関係事業者を対象にしたインバウンド旅行振興フォーラムを東京都内のホテルで開催した。オンライン参加を併用したハイブリッド形式。コロナ禍を受けて会場での対面での開催は3年ぶり。インバウンドは、入国者数の制限、査証(ビザ)の取得、個人観光の停止などが需要回復にブレーキをかけている状況だが、水際措置が大幅に緩和されれば、国際線の復便、訪日観光の拡大につながると期待される。JNTO海外事務所の所長らは、各市場の海外旅行事情を解説するなど、訪日旅行の本格回復にかかわる最新動向を報告した。
あいさつするJNTOの清野智理事長
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訪日観光は添乗員付きパッケージツアーに限定して6月10日に再開された。さらなる水際措置の緩和で9月7日からは添乗員なしのパッケージツアーも可能になった。ただ、受け入れは1日の入国者数の上限の枠内で、依然としてビザの取得が必要となっている。観光目的の入国実績は6月が252人、7月が7903人にとどまっている。
フォーラムのあいさつでJNTOの清野智理事長は「6月から制限付きで訪日観光の受け入れを再開したが、まだまだ本格的な再開には至っていない。9月7日には水際対策が緩和されたが、われわれとしては、早期にさらなる緩和を実施してほしいと期待している」と述べた。ポスト・コロナの訪日観光については、「サステナブル・ツーリズム、アドベンチャー・トラベル、高付加価値旅行を3本柱にプロモーションを本格始動させる。国際観光は変革の時を迎えている。環境、文化を守りながら、住んでよし、訪れてよしの地域づくりを目指す観光の形がよりいっそう求められている」と指摘した。
インバウンドの現状と回復については、観光庁の齊藤敬一郎国際観光課長が講演した。世界の入国規制の状況では、国連世界観光機関(UNWTO)の調査結果を紹介。8月26日時点で新型コロナウイルスに関連した入国制限を設けていないのは76カ国・地域で、このうち欧州が43カ国・地域を占めている。
齊藤課長は、代表的な国・地域の観光目的の入国にかかる規制について、欧州ではほぼ規制がないこと、米国、カナダではワクチン接種者であれば可能なこと、韓国は日本など一部の国・地域を対象にビザ免除を実施していることなどに触れ、「日本は引き続き観光目的の入国にビザが必要な状況だ。旅行業界からは、ビザをいっそう緩和し、コロナ以前のように観光目的のビザを不要にするよう、強く要望されている。観光庁としても課題だと認識している」と説明した。
フォーラムではJNTO海外事務所長らが20市場の動向を報告した。パッケージツアーに制限された現在の状況でも訪日観光の希望者が多い国・地域、また、日本近隣の東アジアの国・地域など6市場に関する報告の概要を以下に紹介する。
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