インバウンド推進協議会OITAは、大分県の訪日外国人客の受け入れ態勢強化に取り組んでいる。豊富なインバウンド受け入れ実績を誇る山城屋(湯布院町・湯平温泉)代表の二宮謙児氏が、自身の知見や経験を生かして会長として同協議会を主導する。インバウンドが回復期を迎え、今後さらなる増加が見込まれる中、同協議会は3月20日に「インバウンドに優しいおもてなし認定制度」と「外国人客目線による交通アクセス検証動画」の配信を本格始動した。二宮氏の自館での取り組みや、そこから広がる同協議会の今回の事業について紹介する。
多言語やデジタル化への対応
山城屋はコロナ禍前の2017年、世界最大手の口コミサイト「Trip Advisor」で日本の旅館部門3位にランクされるなど、現在に至るまで各国のインバウンドから高い評価を得ている。その要因の一つに、100超の言語に対応し、多言語対応AIチャットボットを搭載している公式HPを整備し、客室テレビを日、英、中、韓の4言語で風呂の利用状況を案内できる仕様にするなど、高くなりがちな言語のハードルを細やかな配慮によって極力下げている点が挙げられる。
さらに、コロナ禍と令和2年の豪雨災害で宿泊客が激減したことを契機にデジタル化にも着手。大女将が50年来作り続けた秘伝のみそを自社ECサイトでグローバルに販売し、資金集めとマーケティングリサーチを目的として越境クラウドファンディングを実施し目標額の倍以上の調達額を達成するなど、苦境を機にデジタルを推進した。
認定制度で気付く「できる」「できない」
今回開始するインバウンドに優しいおもてなし認定制度は、「多言語」「案内」「飲食」「健康・安全」「意識向上」「設備」の6分野・20項目の認定基準からなる。「判定範囲は申請施設の業務に該当する項目のみなので、必ずしも全20項目全部が該当するわけではない。また、70%以上を満たすと認定となるが、70%未満でも改善をご提案する」と同協議会。認定制度に挑戦し、「達成している部分」「未達成の部分」を客観的に判断してもらうこと自体にも大きな意味と価値があるだろう。
認定のビジュアル
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