エクスペディアのグレッグ・シュルツCCO、「オールインクルーシブ旅行」に関する考察を発表


 エクスペディアのグレッグ・シュルツCCOは12月2日、「オールインクルーシブ旅行」に関する考察を発表した。

 エクスペディア・グループは、2019年以降、エクスペディアおよびホテルズドットコムでのオールインクルーシブ需要1が70%増加、客室平均単価(ADR)が40%増加し2、急速に成長を遂げていることをお知らせします。この状況を受け、同グループCCOのグレッグ・シュルツは、この度、「オールインクルーシブ旅行」に関する考察をまとめました。

 

 過去1年間において、エクスペディア・グループの検索プラットフォームで最も予約されたオールインクルーシブの人気のデスティネーションは、メキシコ、カリブ海、トルコが上位を占め、その後にスペイン、ギリシャ、キプロス、東アドリア海沿岸が続きます。3

 

 オールインクルーシブの目覚ましい成長の背景には、より高品質なサービスが新たな旅行者層を惹きつけていることが挙げられます。ゲストの期待が進化するにつれて、オールインクルーシブの従来の画一的なモデルから、よりパーソナライズされた体験へと進化しつつあります。

 

「高級志向」のオールインクルーシブへの転換

 エクスペディア・グループのプラットフォーム上でのオールインクルーシブ需要では、利用者が5つ星ホテルを予約する割合が2019年以降125%増加しました。4地域別では、欧州からの旅行者が65%、米国からの旅行者が110%という驚異的な増加を示しています。オールインクルーシブの旅行は、従来はお得な旅行を求める顧客と結びついていましたが、現在ではグルメダイニングやパーソナライズされたサービス、ラグジュアリーな体験を重視する高級志向に変化しています。

 

 アジアの旅行者における5つ星ホテルのオールインクルーシブプランの需要は20%にとどまるものの、中上流層を中心に関心が広がっています。特に、インド(61%)、インドネシア(61%)、ベトナム(58%)ではオールインクルーシブパッケージが高い人気を誇り5、アジアの中流上位層の55%、さらに各国で収入上位10%の消費者のうち48%が同様に関心を示しています。日本の旅行者に関しては、38%の人が「オールインクルーシブな宿泊先に今まで宿泊したことがある」と回答しており6、オールインクルーシブは日本において今後伸びしろのあるカテゴリであることが分かります。

 

Z世代から注目を集める

 エクスペディア・グループの最新調査「2025年の旅行トレンド」によると、オールインクルーシブな宿泊先に滞在する旅行の人気が従来の旅行者層を超えて拡大し、特にZ世代が新たな牽引役として浮上しています。Z世代の旅行者の42%がオールインクルーシブ・リゾートを好みの宿泊先として選び、そのうち3分の1が以前よりもその魅力を感じるようになったと回答しています。TikTokでは「#allinclusive」がトレンドとなり、オールインクルーシブ旅行への関心が急上昇しています。7

 

 オールインクルーシブがZ世代に支持される理由の一つは、その「シンプルさ」です。同調査では、5人に2人にあたる41%のZ世代旅行者がオールインクルーシブを選ぶ主な理由に「ストレスの少なさ」を挙げ、次いで「予約のしやすさ」(39%)や「ラグジュアリーな体験」(38%)が続きました。若い世代の旅行者は、オールインクルーシブの利便性を求めつつも、質の高い、多様で豊かな旅行体験に対して高い期待を抱いていることを示しています。

 

オールインクルーシブトレンドの活用方法

 オールインクルーシブ体験への注目が高まる中、旅行業界の企業にはこのトレンドを活用する絶好の機会が広がっています。

 

 成功の鍵となるのは、ターゲット層に合わせた体験の設計です。Z世代に響く施策が、必ずしも裕福なリタイア層や中流上位層のファミリー層にとって同様に魅力的であるとは限りません。それぞれの層に響く提案を行うことで、効果的に顧客基盤を広げることができます。

 

 また、競争力を高めるためには、会員限定の特典やオンラインツールを活用することで、オールインクルーシブな旅を好む旅行者への魅力をさらに高めることができます。さらに、繁忙期以外の集客を図るために、エンゲージメントの高い旅行者に向けたプラットフォームを活用し、広告ソリューションを通じてターゲット層の興味や好みに合わせたリゾートの魅力を発信することが効果的です。加えて、ホテルのレストランオプション、スパやジムの詳細、アクティビティ情報など、旅行者が期待できる体験を具体的に記載したリスティングを更新することで、競争優位性を強化することが可能です。

 

 ダイニングについては、日常的なドリンクや食べ放題のビュッフェではなく、より洗練された体験が求められます。高品質なレストランメニューの豊富な選択肢や、新たなパートナーシップが顧客基盤の拡大において重要な役割を果たします。この分野で先行している企業は、プレミアムなドリンクの提供やミシュラン星付きシェフが監修したメニューなど、特別な体験をすでに提供しています。

 

 さらに、現地での質の高いカスタマーサービスは、「あると良い」ものではなく「必須」となっています。ゲストとのスムーズなコミュニケーションを確保し、毎日のアクティビティの更新をスマートフォンで送信するなど、きめ細やかな対応を行うことで、忘れられないオールインクルーシブな体験を提供することが可能です。実際に多くのオールインクルーシブ旅行者が満足度の主な要因として優れたサービスレベルを挙げており、その重要性が裏付けられています。

 

 このようなオールインクルーシブパッケージへの需要は今後も続くと予測されています。8エクスペディア・グループが実施したアジアの旅行トレンドに関する調査によると、今後12カ月以内に海外旅行を検討している消費者の54%が、オールインクルーシブパッケージを選択肢として挙げています。オールインクルーシブな旅の需要が高まり、その対象層が変化する中で、旅行業界の企業がこのチャンスを活かすための具体的な対策を講じることが重要です。

 

 

[1]「オールインクルーシブ需要」とは、「オールインクルーシブ」として分類された宿泊施設またはオールインクルーシブ料金プランで予約された需要を指します。

[2]エクスペディア・グループの宿泊需要(2023年10月から2024年9月まで)を2019年と比較したもの

[3]エクスペディア・グループの宿泊需要(2023年10月から2024年9月まで)

[4]エクスペディア・グループの宿泊需要(2023年10月から2024年9月まで)を2019年と比較したもの

[5]エクスペディア・グループ アジア人のマス富裕層旅行者動向調査2024

[6]エクスペディア・グループ 2025年の旅行トレンド「Unpack’25

[7]エクスペディア・グループ 2025年の旅行トレンド「Unpack’25

[8]エクスペディア・グループ アジア人のマス富裕層旅行者動向調査2024

 
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