「佳ら久」2施設の2人の総支配人に聞いた
オリックス・ホテルマネジメントが運営する「箱根・強羅 佳ら久」「熱海・伊豆山 佳ら久」の2施設は、7月4日にミシュランガイドが発表した「ミシュランキーホテル」の「1ミシュランキー」を獲得した。両施設は開業以来どのような取り組みを行い、何が評価されたのか。2人の総支配人に聞いた。
伊豆・箱根エリア統括総支配人
「箱根・強羅 佳ら久」総支配人 藤井 育郎氏
「熱海・伊豆山 佳ら久」総支配人 辰巳 哲一氏
――選出された感想は。
藤井 世界同一基準で評価されるミシュランガイドのホテルセレクションにおいてアジア初の1ミシュランキーの旅館の一つに選ばれたことは大変光栄に思う。ＯＲＩＸ ＨＯＴＥＬＳ ＆ ＲＥＳＯＲＴＳのラグジュアリー旅館ブランドとして、お客さまに最高のくつろぎとやすらぎをご提供すべくサービスと品質にこだわり、スタッフ全員で作り上げてきた「佳ら久」のおもてなしをこのような形で評価いただいたことはこの上なくうれしい。
辰巳 2023年12月の開業から約半年での入選は施設の全員が驚いたが、とても光栄に思っている。熱海市内で唯一という点も、微力ながら熱海・伊豆山エリアの観光活性化のお役に立てていると思い、大変うれしく感じている。
――開業以来、どのような取り組みを。
藤井 箱根連山と相模湾をはるかに見渡す絶景の露天風呂、貸し切り風呂や客室の露天風呂といった多彩な温泉を軸に、四季折々の強羅の自然美と多彩な調理法を六感（五感＋佳ら久ならではの体験）で堪能いただける料理など、いつお越しいただいても新鮮な滞在を楽しんでもらえるよう、おもてなしに力を注いでいる。お客さま一人一人に寄り添ったスタッフのおもてなし、自邸のようにくつろげる客室など、一つ一つの品質にこだわり、非日常と最上級の居心地を感じていただけるよう快適なサービスを心掛けている。
辰巳 「箱根・強羅 佳ら久」で築いた「佳ら久」ブランドの2軒目として、ブランドの継承と、伊豆山ならではの土地の魅力を伝えられるよう開業時から取り組んできた。「佳ら久」の「麗らかな活力が生まれる場所。」のコンセプトに基づき、お客さまには自分らしく思い思いの時をお過ごしただける空間とサービスをご提供している。「佳ら久」の象徴の一つであるゲストラウンジ「間（ＡＷＡＩ）」に加え、「熱海・伊豆山 佳ら久」ではもう一つのゲストラウンジ「刻（ＴＯＫＩ）」をご用意している。「刻」では、有田焼を中心にご用意した数十種類のコーヒーカップから好きなものを選び、マイカップで楽しめる。カップを選ぶ時間も、コーヒーを入れる時間も、”一刻一刻”をゆったりと楽しんでいただきたいという思いを込めた空間だ。相模湾を一望する「間」と熱海の山々を感じられる「刻」の、趣の異なる二つのラウンジで伊豆山の土地を感じながら思い思いにおくつろぎいただける。
ゲストラウンジ「刻」。一部時間帯は、ドリンクやフィンガーフードも提供する
――施設の何が評価されたか。
藤井 温泉旅館として、雄大な自然に抱かれ古くから親しまれている強羅温泉を心ゆくまで楽しむことができる点。また、日本の伝統が根ざす空間美、四季折々のお料理など、誰もが豊かに満たされる多くの選択肢があり、訪れるたびに進化している一人一人に寄り添ったおもてなしで「温泉旅館」の新しい形を創造しようと心がけて実践してきた点ではないかと思う。プライベートを重視した空間、お客さまの過ごし方に合わせたおもてなしを徹底することで「また来たい」という気持ちが育まれ、「佳ら久」でしか味わえない豊かな時間がお客さまにとって安心感や特別感へとつながり、評価いただけたのではないかと思う。
「箱根・強羅 佳ら久」の料理（写真は前菜）。四季折々の地元食材を使用する
辰巳 最上階のロビーから望む海景になぞらえ、開放感を得られるような家具の設え（脚の細い物を使用するなど）としたほか、高級ブランドの家具を採用するなど、館内のデザインにもこだわっている。食事は近海の海の幸を使った料理構成としたほか、食器はガラス、現地で調達をした有田焼、オリジナルの食器を使用し、目で見て楽しめる工夫を凝らした。何より、こうした設備やこだわりをお客さまに説明できるだけのスタッフの教育・おもてなしに力を入れ、その点がお客さまにご好評いただいていると自負している。
――今後の取り組みは。
藤井 箱根・伊豆エリアなど地元の企業さまや自治体との連携を引き続き強化しながら、地域の魅力の発掘・発信により、地域と施設の長期的なブランド価値向上に力を入れていきたい。「佳ら久」をハブとして、連泊したくなるような箱根の魅力をＰＲし、箱根町内の回遊と消費拡大に向けたコンテンツづくりに地元の皆さまと共に取り組む。お客さまの求める旅行への価値観を察知し、「佳ら久」ならではのおもてなしに進化させ続け、いつ訪れても新鮮な滞在をご提供できるよう努めていきたい。
辰巳 伊豆山地区の地域活性、インバウンド誘致への貢献をすべく、美術館や伝統芸能などの地域施設との連携を図っていきたい。ラグジュアリー旅館として、滞在中の体験価値に重きを置いたプラン造成やイベント企画を行い、ビジョンにも掲げている通り「また行きたい、と思っていただける場所。」の実現を目指していく。
「箱根・強羅 佳ら久」
https://gora-karaku.orixhotelsandresorts.com/
「熱海・伊豆山 佳ら久」
https://izusan-karaku.orixhotelsandresorts.com/
