政府、政策パッケージの一環で
政府は、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けて、地域の実情に応じた対策を促進するため、モデル事業として全国から公募などで20地域程度を選定し、総合的に支援することで先進事例を創出する方針だ。10月18日に決定したオーバーツーリズムの対策パッケージに基づく施策の一環として取り組む。観光客の受け入れと住民生活の質の確保を両立しつつ、持続可能な観光地域づくりを推進する。
先進事例を創出、全国に展開
国内外の観光需要がコロナ禍から急速に回復する中、一部の地域や時期・時間帯によっては、観光客による過度の混雑やマナー違反などが見られ、地域住民の生活への影響が懸念されている。同時に、観光客の旅行満足度の低下にもつながると危惧されている。
政府は、観光庁を中心とする関係省庁対策会議で対応を検討。10月18日に開かれた観光立国推進閣僚会議では、施策の方向性を盛り込んだ「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を決定した。
岸田文雄首相は、観光立国推進閣僚会議で、「オーバーツーリズムの緊急対策を取りまとめ、持続可能な観光に向けた新たな取り組みに着手する。地域の実情に応じて円滑に進むよう、政府、自治体、民間の連携強化に取り組む。この一環として、地域主導で取り組みを行う約20地域に対する包括的な支援を行い、先駆モデルを創出して、他地域に横展開していく」と述べた。
モデル事業の詳細は未定だが、公募などを基本として20地域程度を選定する。スケジュールや予算措置も決まっていないが、観光庁の髙橋一郎長官は10月18日の専門紙会見で、「総合的な支援を行う対策パッケージが決定されたので、適切な形で経済対策への盛り込み、反映を図っていきたい。できる限り速やかに進める」と説明した。
政府 オーバーツーリズム対策 混雑緩和へ需要管理も
政府が決定した「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」は、(1)過度の混雑やマナー違反への対応(2)地方部への誘客の推進(3)地域住民と協働した観光振興―を3本柱として、それぞれに施策の方向性を示した。混雑の抑制・緩和策では、混雑状況に応じて鉄道運賃の設定が可能になる弾力的な制度運用、住民利用とすみ分けた観光スポットへの急行バスの運行を促す規制緩和なども検討する。マナーの啓発に向けては、旅行者向けの指針やピクトグラム(絵文字)を策定する。
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