クラブツーリズム(クラツー)と東北大学の加齢医学研究所の瀧靖之教授はこのほど、旅行が脳にもたらす健康作用について共同研究を開始した。60歳以上の参加者が約65%を占めるというクラツーのツアー参加者を対象に「旅行」と「認知症予防・抑制」の相互関係について調査、研究を行い、旅行が認知機能に及ぼす好影響を3年かけて検証する。
両者が今年6月に45人を対象に行った事前調査では「過去5年間の旅行回数が多いほど、人生に対する『失望感』が低い」「『現地交流』を動機として旅行をする傾向が高いほど、人生に対する『満足感』が高い」などの結果が得られた。
この結果から両社は旅行が認知症の予防、抑制に効果的であるという可能性が示唆されたとする。
両者は今後「旅行に行く頻度の高い高齢者は主観的幸福感やストレス対処能力が高く、認知機能が保たれている」「旅行の前後で脳に変化がり、主観的幸福感は向上、認知機能は低下抑制が見られる」という仮説を検証する。
研究対象は60歳以上の日本人で、旅行高頻度と低頻度のグループに分類し、MRIや脳の認知機能検査や心理指標のデータを比較。ツアー参加者の参加前、参加後の認知機能などの変化を分析する。
クラツーの小山佳延社長は「旅行と健康寿命の相関関係を科学的に検証できれば旅行業界全体にプラスになる」と期待を示した。