全国の高校生が自ら作った体験型観光プログラムを競い合うコンテスト、第9回「全国高等学校観光選手権大会」(愛称=観光甲子園)の決勝大会が8月24日、兵庫県神戸市のハーバーホールで開かれた。予選を通過した8校が自分たちの考えたプログラムについてプレゼンテーションでアピール。グランプリである観光庁長官賞には青森県立名久井農業高校が輝いた。
同大会は、2009~15年に開催の「観光甲子園・全国高校生観光プランコンテスト」を引き継ぐもので、昨年から全国高等学校観光選手権大会として実施している。主催は観光関係者で作る同大会組織委員会(委員長=井内善臣・神戸山手大学学長)、共催は神戸山手大学。観光庁はじめJATA、ANTA、観光経済新聞社など観光関連の産官学が後援した。
今回は「地域発の滞在型観光プログラム」「地域を歩く5日間のウォークツアープラン」というテーマに対し、全国42校から84プランの応募があった。決勝大会では書類による予選審査を通過した8校が、12分間のプレゼンテーションを行った。
グランプリに選ばれた名久井農業高校のプログラム「青森相撲王国探訪記」は、相撲が身近にある青森の生活文化に着目し、その相撲文化を五感で味わってもらおうという2泊3日の観光プラン。大相撲ファンの女性や日本文化に興味のある外国人をターゲットに、地元の相撲道場のちびっこ相撲や相撲の強豪高校の稽古を見学したり、四股や相撲文字、相撲甚句を体験したりする内容。
プレゼンテーションでは、ガイドブックにないコンテンツが体験できることや、ちびっこ力士の出世を見届けられるリピーターとしての楽しみ方などをアピール。大相撲とは違う、暮らしに根付いた相撲の文化をさまざまな切り口から感じさせる内容に、審査員からは「地元の相撲文化が歴史や食などとうまく結びつけられており、ストーリー性もある」などと高く評価された。
このほか第2部では小野田金司・神戸山手大学教授(同大会実行委員長)をコーディネーターに、「観光甲子園のプログラムは世界に届くか」をテーマにしたパネルディスカッションを実施。パネリストとして登壇した審査員からは、「欧米の旅行者は同じ着物でも、絹織物、伝統の模様のものを好む。歴史や背景の文化などもしっかり伝える方が喜ばれる」「1週間滞在しても楽しめる要素を考えていくと地元の魅力を深く探れるはず。そのためには自分たちの街以外にも広がりを」などのアドバイスが出された。
グランプリ以下の結果は次の通り。
金賞=私立清風南海高校(大阪府)▽銀賞=福井県立奥越明成高校、私立興譲館高校(岡山県)、山形県立村山産業高校▽銅賞=兵庫県立生野高校、三重県立鳥羽高校、岐阜県立恵那農業高校▽一般審査員賞=私立清風南海高校