東京商工リサーチ(TSR)によると、新型コロナウイルス関連の経営破綻は、4月24日現在で累計93件となった。2月25日に冨士見荘(愛知県蒲郡市)が中国人観光客の激減から閉館し、法的準備中が確認されてからわずか2カ月で90件を突破した。「このペースを維持すると、4月末までに100件も視野に入ってきた」と同社。
コロナ関連の経営破綻は2月2件、3月23件だったが、4月になってから一気に経営破綻企業が増えている。
都道府県別では、31都道府県で発生し、最多は東京都の21件(倒産21件、準備中ゼロ)。次いで、北海道11件、静岡県7件、兵庫県6件で、愛知県と大阪府が各5件にのせた。宮城県、福岡県、長野県が各3件。
業種別では、インバウンド消失と外出自粛の要請で影響を受けた宿泊業が18件で最多。次いで、外出自粛で来店客の売り上げが落ち込んだ飲食業が15件、アパレル関連が10件の順。
このほか、イベント自粛や休校のあおりで学校給食用食材を扱っていた食品製造業が9件、結婚式場やパチンコホールなどの生活関連サービス、娯楽業も8件発生し、地域、規模、業種を問わず広がっている。
収束が見通せず、休業要請などで小・零細企業は閉塞(へいそく)感を強めている。上場企業もキャッシュポジションを高めるため、判明するだけで4兆円以上のコミットメントラインを設定している。
「中小企業の多くは、人手不足による人件費上昇、消費増税などで厳しい収益環境が続き、手元資金は余裕を欠いていた。そこにコロナの影響が重なり、経営破綻の押し上げにつながっている」としている。