帝国データバンクが8月に行った新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査によると、企業の75.5%と、およそ4社に3社が新型コロナを契機にデジタル施策を推進していることが分かった。「オンライン会議設備の導入」「テレワークなどリモート設備導入」などが取り組み内容の上位に挙がっている。
デジタル施策への推進状況は、「取り組んでいる」が75.5%、「取り組んでいない」が19.7%、「分からない」が4.8%。
具体的な取り組み内容を複数回答で聞くと、「オンライン会議設備の導入」が60.8%と最も多かった。2位は「テレワークなどリモート設備導入」で52.7%。この二つが半数以上の回答率だった。
3位以下は、「ペーパーレス化の推進」36.2%、「SNSを活用した情報発信」16.7%、「電子承認(電子印鑑)の導入」15.3%、「オンラインセミナーなどの開催」15.2%―など。
企業の規模別では、大企業が88.6%と、9割近くがデジタル施策に取り組んでいるのに対し、中小企業が72.7%、小規模企業が63.0%と、取り組み状況に差が見られる。
取り組み内容は、「オンライン―」が大企業で76.9%、中小企業で56.4%。「テレワーク―」が大企業で67.0%、中小企業で48.8%。ほとんどの項目で大企業が中小企業を上回っている。
「マイナス影響」 旅館は100%が回答
新型コロナによる自社の業績への影響は、「マイナスの影響がある(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)が82.5%。7月調査から0.2ポイント減と、4カ月連続で減少した。ただ、業種別では旅館・ホテルが100%と、依然厳しい状況となっている。
マイナスの影響がある割合の上位業種は、旅館・ホテルのほか、飲食店(93.7%)、家具類小売(93.3%)、輸送用機械・器具製造(92.5%)など。
一方、プラスの影響がある割合の上位業種は、スーパーマーケットなどの各種商品小売(38.3%)、インターネット接続業などの電気通信(22.2%)、飲食料品小売(20.3%)など。
企業からは次のような前向きな影響などの声が上がっている。
「よく考えると今までは企業としてまだ甘さがあったと言える。この新型コロナウイルスのピンチをチャンスと捉え、イノベーションしようと考えている」(建物売買、秋田県)。
「雇用調整を実施したことにより人の無駄の発見などメリットもあった。また、デジタル化により人の作業を機器に置き換え、固定比率の高い人件費の抑制が可能となった」(清酒製造、栃木県)。
「新型コロナウイルスにより、外国製よりも日本製への転換が好まれる傾向にあり、チャンスかと思う。自社もより日本製をアピールしたい」(寝具製造、愛知県)。
「自社でも補助金を用いての前向きな設備、新たなビジネスへの挑戦、新たな営業スタイルの構築など積極的に取り入れた。新たな製造業としてのモデルになりたいとポジティブに考えている」(工業用プラスチック製品製造、山形県)。
「売り上げが減少しているが、時間を得たことで商品開発ができている」(貴金属製品卸売、東京都)。