大手ホテルOBなどで構成するNPO法人、シニア・マイスター・ネットワーク(東京都文京区)は20日、第27回産学ジョイントセミナー「厨房関連コスト適正化に関して〜聖域なき改革へ向けて」を文京区民センターで開いた。旅館・ホテル経営者らが参加した。
講師は、大手ホテルの元総料理長で、現在は旅館ホテル業向けコンサルティング会社、アモンイノベーション社長の高石幹夫氏と、飲食・宿泊業向けコンサルティング会社、シービーパートナーズ社長の作古竜太氏が務めた。
高石氏は、「業者会からの入札だと(食材の仕入れ値が)市場価格と比べて本当に適正かどうかは分からない。料理人が接待などを受けた分は全部仕入れ原価に加算されている」「旅館・ホテルの仕入れ担当者が(食材について)目利きでないと判断した場合、業者は(原価の安い)類似の食材をどんどん送ってくる」などと業者の闇の部分を指摘。具体的な対抗策として「3カ月に1度、あるいは6カ月に1度は仕入れ先を替えてみるべき。そうしないと比較ができない」と提案した。食材業者との関係を見直すことで、仕入れコストの適正化ができると話した。
高石氏は、自ら食材の卸・販売、調理師派遣、飲食店経営なども手がけている。
“厨房改革”を掲げる作古氏は、「食材仕入管理のためには『在庫』『原価表』『ロス』などの基礎データの収集と分析が必要」「上位20品目の料理の原価率を見直すだけでも、ボリュームインパクトが大きいため相当なコスト削減効果が期待できる」「今まで聖域として扱ってきた調理部門の改革には、障害、リスク、抵抗が想定されるが、経営トップの絶対的な信念と、組織的に的確な対応策を講じることで支障なく対応できる」などと指南した。
厨房改革を訴える作古社長