シンポジウム「ホテルにおける人材育成の課題と可能性」 日本能率協会、国際ホテル・レストランショーで開催


左から、徳江、阿部、中川、本間の各氏

 日本能率協会は2月7日、東京ビッグサイトで開催した第53回国際ホテル・レストランショー(HCJ2025)で、パネルディスカッション「ホテルにおける人材育成の課題と可能性~スペシャリスト?ゼネラリスト??マルチタスク???~」を開いた。

 ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜の総支配人・阿部泰年氏、リーガロイヤルホテル大阪の常務執行役員総支配人・中川智子氏、ペニンシュラ東京のピープル&カルチャー・ディレクターの本間聡氏が登壇。ファシリテーターを東洋大学国際観光学部の准教授・徳江順一郎氏が務めた。

 阿部氏は、自身のスペシャリストとしてのキャリアを踏まえた上で、マルチタスクについての見解を次のように述べた。

 「起点は常にお客様。コンシェルジュとしての道を追求してきた。2015年にコンシェルジュの国際組織『レ・クレドール』の世界30人の会員の1人として承認された。パンパシフィックホテル横浜、コンラッド東京、マンダリンオリエンタル東京、アマン東京でコンシェルジュを務めた後、2019年4月にザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜の開設準備室にディレクターオブコンシュルジュとして移り、総支配人に任命された。19年7月に日本コンシェルジュ協会の会長にも就いた。出世に全く興味がなく、スペシャリストとしての道を究めることだけを考えて過ごしてきたが、いざ総支配人になってみると見えてくる風景も変わり、今は大変なやりがいを感じている。様々なスペシャリストが連携してお客様に最高のサービスを提供することがホテルの醍醐味。ただ、若いスタッフが自分の得意分野を見つけ出すためにマルチタスクを経験するのは良いことだと思う」。

 ロイヤルホテルでフロント、コンシェルジュを経て、第1号のセールスレディとなり、海外新規開業、宿泊部長なども経験した中川氏は、「当社には総料理長出身の総支配人もいる。阿部さんもおっしゃったように、その業種、ポジションによって見える世界が全く違うので、スタッフには、さまざまな部署を体験する中で、自分に最適の場所や方向性を決めていってもらいたいと考えている」と述べ、マルチタスクに肯定的な考えを示した。

 本間氏は、純外資系ホテルの人事制度、人材活用の仕組みについて次のように紹介した。

 「外資系ホテルにはキャリアステップは自分自身でつくるという原則がある。職能別採用なので、コンシェルジュとして採用された方が、社内公募でゼネラリストのポストに手を上げることも可能だが、現実的には少ない。自分がやりたいからやるという強い意識を持っていないと、簡単にはキャリアを変えることはできない。ただ、立候補制なので、スタッフには常にチャンスが与えられている。1年に4回は面談でスタッフが自分の希望を会社に伝えることができるようになっている」。


左から、徳江、阿部、中川、本間の各氏

 
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