ツーリストシップ(京都市、田中千恵子代表理事)は9日、旅行者と地元住民らが交流しながら旅行マナーについて理解を深めるイベント「旅先クイズ会」を全国8カ所で同時開催した。各開催地が同時実施するのは初めて。各会場をズームでつなぐなどの試みも行い、各開催地の連携なども探った。
開催したのは、北こぶし知床ホテル&リゾート(北海道斜里町)、池袋東口観光案内所(東京都豊島区)、コネクトすみだまち処(東京都墨田区)、JR嵯峨嵐山駅(京都市)、元離宮二条城(同)、近鉄奈良駅前(奈良市)、宮島桟橋前広場(広島県廿日市市)、湯布院町(大分県由布市)の8カ所。
各開催地のスタッフとして、ANAあきんど大阪支店、京都支店、NTT西日本奈良支店の社員や、地元大学生、ボランティアが参加した。
このうちJTBコミュニケーションデザインが運営を受託する池袋東口観光案内所のブースには、田中代表のほか大学生ボランティアらが立ち、行きかう人にどこから来たのかを尋ね地図にシールを貼ってもらったり、豊島区のクイズを出題したりして、豊島区やツーリストシップの理解浸透を図った。
大学の教員からの声掛けでスタッフとして参加したという学生は「旅先クイズ会は豊島区はもちろん、日本のことや観光の現状を知ってもらう良い機会だと思う。クイズを通して、観光客としてどういった姿勢が望ましいかを理解してもらえればうれしい」と語った。
宿泊施設では唯一の参加となった北こぶし知床ホテル&リゾートでは、チェックアウト・イン前後の時間帯に、同館スタッフと地元大学生らが館内で旅先クイズ会を開いた。
2020年から知床のクマを守ることを目的としたCSR活動「クマ活」に取り組んでいる同館。ツーリストシップの取り組みを知り、「知床に来たら守ってほしいことを分かりやすくまとめたいとの思いと合致した」(桑島敏彦・北こぶしリゾート専務COO)ことから、連携して「知床ツーリストシップ」を策定。オリジナルデザインの告知ポスターを制作、館内に掲示するなどして啓発に努めてきたが、旅先クイズ会による啓発活動は初めて行った。
同館によると、ハイシーズンの狭間のため道内客が半数を占めたものの、インバウンドを含む道外客含め60人超の宿泊客が旅先クイズ会に参加した。「普段、ホテルスタッフがお客さまと雑談する機会は少ないが、クイズ会をきっかけに、それ以外の場でもコミュニケーションを取るきっかけにもなった。お客さまが比較的少ない時期にも関わらず多くの方が参加して、この取り組みを好意的に捉えてくれたのは良かった。今後も機会があれば実施したい」と広報の村上晴花氏は話す。
今回は初の全国一斉開催だったことから、一部会場同士をズームでつないで配信する試みも行った。クイズ会の参加者同士の交流までは行えなかったものの、各地のスタッフ同士がオンラインで交流できたという。また事後の振り返り会も開催し、参加者の内訳や各地のクイズの内容の共有なども行った。
田中代表は「現在旅先クイズ会は全国各地で月に5~6回実施している。旅行者のごみ問題に困っている地域で開催したことで、廃棄量が減少するなどの成果が着実に上がってきており、旅先クイズ会のブースは旅行者と地域が共存するためのちょっとしたアドバイスを伝える存在となりつつある。そういった情報拠点が全国にできるのが理想的なので、これまで個別に取り組んでいた各地域が連携して発信することで、取り組みへの理解が進み、さまざまな形での情報発信が進むきっかけになれば」と語った。
豊島区のクイズを通じ理解浸透を図った(池袋東口観光案内所で)