デルタ航空は14日、2020年第2四半期業績を発表した。
デルタ航空 (NYSE:DAL) は、2020年6月を期末とする第2四半期の業績と、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対する継続的な対応について発表しました。
デルタ航空の最高経営責任者、エドワード・バスティアン(Edward Bastian)は次のように述べています。「第2四半期の収益が前年同期比110億ドル以上減少し、調整後税引き前利益が39億ドル減となったことは、新型コロナウイルスがいかに当社の事業に大きな影響をもたらしたかを示しています。この課題に直面して、当社の従業員はお客様と会社を守るために迅速かつ断固とした対策をとり、3月下旬以降一日あたりの現金支出額を70%以上削減し、6月には2700万ドルまで下げました。パンデミックとそれに伴う世界経済への財政的影響を考慮すると、持続可能な回復が見られるまでには2年以上かかると考えています。このような困難な環境では、事業の中核をなすデルタ航空の強みである人材、ブランド、ネットワーク、運航の信頼性が、デルタ航空を差別化し、需要が回復したときに成功するためのすべての意思決定の指針となります。」
2020年4~6月期の業績
- 税引前調整済み損失39億ドルには、新型コロナウイルスの影響および対応に直接関連する項目 (機材再編の費用、デルタ航空の一部株式投資に関連する評価減、同四半期に計上されたCARES法の補助金の便益など) の32億ドルは含まれていません。
- 製油所の売上高を除く調整後総収益は12億ドルで、前年比91%減でした。ネットワーク全体の輸送容量は前年同期比85%減でした。
- 営業費用合計は前年同期比で41億ドル減少しました。調整後営業費用合計は、輸送量と収益関連費用の減少、事業全体のコスト管理の強化により、前年同期比で55億ドル (53%) 減少しました。
- 四半期末時点の流動資金は157億ドルでした。
新型コロナウイルスの対応に関する最新情報
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、デルタ航空はお客様と従業員の安全、流動資金の確保、需要回復に向けた準備を優先しました。これらの優先項目別に実施した対策は次のとおりです。
従業員とお客様の健康と安全の保護
- 静電スプレー機を使った機内消毒と、高頻度で接触する箇所の出発前の消毒を含む新しい清掃手順を、すべてのフライトに採用しました。
- 従業員とお客様の感染予防とソーシャルディスタンスを保つため、マスクの着用を要請し、中央席をブロックし、座席使用率を60%に制限し、搭乗と降機のプロセスを変更するなど、さまざまな措置を講じました。
- デルタ航空のすべてのチェックインカウンター、デルタ スカイクラブ、ゲートカウンターにアクリル製の仕切板を設置し、チェックインロビー、デルタ スカイクラブ、搭乗ゲート、ボーディングブリッジの床に誘導マーカーを付けました。
- 運航の信頼性で高い評価を獲得したのと同様に、デルタ航空の清潔さの基準をさらに進化させるため、グローバル・クリーンリネスという部署を新設しました。
- メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)とクエスト・ダイアグノスティクス(Quest Diagnostics)と提携し、従業員向けに新型コロナウイルス検査を行っています。
- お客様がより柔軟に旅行の計画を立てたり、購入済み航空券の再予約ができるよう、トラベルクレジットの有効期限を2022年9月まで延長しました。また2020年に払い戻しをした金額は、既に22億ドル以上にのぼります。
流動性資産の確保
- コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)の給与支援プログラム (PSP) により受領した無担保ローンを含め、平均利率5.5%の混合型で、3月初旬から150億ドル近くの資金を調達しました。
- 年末までに現金消費を損益分岐点まで下げることを目標に、当四半期中に現金消費を削減(注記A参照)しました。
- 信用ファシリティの約款を、固定費用カバレッジ率から流動性ベースに変更しました。
- 回転信用ファシリティによる13億ドルの借入の満期を、2021年から2022年に延長 しました。
- 輸送容量の削減、燃料費の削減のほか、勤務時間の短縮や従業員の自主的な休職、航空機の駐機、施設の統合、ほぼすべての裁量支出の削減などの施策により、積極的なコスト管理を行いました。
- CARES法のPSPを通じて、54億ドルの支援金および無担保貸付を取得しました。これは、2020年7月まで分割で支払われます。
- 抵当権のない資産の活用により将来の資金調達の機会を継続的に検討しています。CARES 法の担保貸付プログラムに基づき、46億ドルの貸付金について拘束力のない同意書を米財務省に提出しました。このプラグラムへの参加は、2020年9月30日までに選択するもので、デルタ航空ではまだ参加するかどうか決定はしていません。
需要回復に向けた準備
- デルタ航空は今後数年間で、より小規模でより効率的な航空会社となることを目指し、すべてのMD-88、MD-90、777、737-700型機と、一部の767-300 ER、A 320型機を2020年に退役させることで、保有機材の簡素化を推進します。
- ロサンゼルス、ニューヨーク、ラガーディア、ソルトレイクシティの空港建設プロジェクトを加速させます。需要の減少を利用し、建設スケジュールを短縮し、総コストの削減を目指します。
- 従業員数を管理し、運航規模を変更するために、従業員による自主的な早期退職プログラムを開始しました。このプログラムでは、現金による退職手当、医療保険の全額支給、特定の参加者に対する退職者医療、資格のある従業員に対する旅行特典などが提供されます。
収益と輸送容量の環境
新型コロナウイルスの影響により第2四半期の航空需要は大幅に落ち込み、旅客数は前年同期比93%減となりました。この結果、デルタ航空の調整後営業収益は12億ドルとなり、前年同期比91%減となりました 。輸送容量は85%減で、旅客収入は94%減少しました。貨物、MRO、ロイヤリティ収入など航空券以外の収入は、航空券の減少率よりも低い65%減となりました。
コストパフォーマンス
調整後営業費用の合計は、前年同期比で55億ドル (53%) 減少しました。ただし、CARES法に基づく13億ドル、機材関連の決定やその他の費用による機材再編費用25億ドルを除きます。これは、燃料費が19億ドル (84%) 削減されたこと、700機以上の航空機を駐機することでメンテナンス費用が90%削減されたこと、収益関連の費用が大幅に減少したことによるものです。給与および福利厚生費は、45,000人以上の従業員が自発的な無給休暇を選択したことが寄与し、24%減少しました。
デルタ航空の最高財務責任者、ポール・ジェイコブソン(Paul Jacobson)は、次のように述べています。「調整後のコスト・ベースを50%以上削減するというチーム全体の努力の成果が、第2四半期のコストパフォーマンスに反映されました。第3四半期には輸送容量が増えますが、今期に実現したコスト構造により、前年同期比50%の削減を達成する見込みです。」
貸借対照表、現金及び流動性
第2四半期末の流動性資産は157億ドルでした。当四半期中に運航に使われた現金は、2億9000万ドルでした。4月~6月までの一日の現金消費は平均4300万ドル、6月の平均消費額は2700万ドルで、3月末から70%減少しました。
四半期末時点の負債およびファイナンス・リース債務の総額は246億ドル、調整後純負債は139億ドルでした。同四半期中、平均6.5%の混合金利で新たに110億ドルの流動性を調達しました。同四半期中に完了した新規融資には、スロット/ゲート/ルート担保融資が50億ドル、セール・リースバック取引が28億ドル、PSPローンが14億ドル、無担保手形が13億ドル、Enhanced Equipment Trust Certificates (EETC ) のBトランシェが2億4300万ドル、さらに364日間の担保付き定期融資が2億5000万ドル含まれます。
6月末時点でのエア・トラフィック・ライアビリティは50億ドルで、これには47億ドルの流動負債と3億ドルの固定負債が含まれています。非流動負債であるエア・トラフィック・ライアビリティは、1年後以降に使用される予定の航空券とトラベル・クレジットの現在の見積を表しています。トラベル・クレジットは、エア・トラフィック・ライアビリティ全体の約60%を占めています。
ポール・ジェイコブソンは、「3月以降毎月、一日平均の現金消費額は減少しており、年末までに現金消費の損益分岐点に達することを目指しています。四半期中の新規融資とCARES法に基づく資金調達を通じて、6月末には流動性を157億ドルまで高めることに成功し、調整後純負債は、年初から34億ドル増加し139億ドルになりました。早期に現金を調達し、積極的にコストを管理することで、最終的な回復に向けてデルタ航空を有利に位置づけるための意思決定を行いながら、収益が不安定になる時期を乗り切る準備ができています。」と、述べています。
CARES 法の会計、機材再編費用および投資関連の評価損
2020年4月、デルタ航空はCARES法のPSPを通じて54億ドルの緊急援助を受け、2020年7月まで分割で支払われることになりました。第2四半期中にPSPから49億ドルを受領しましたが、その内訳は35億ドルの助成金と14億ドルの低金利の無担保10年融資です。残りの5億4400万ドルは2020年7月に受領する予定です。第2四半期では、助成金のうち約13億ドルを対照費用として計上していますが、この基金が補償する期間の連結損益計算書には、「CARES 法補助金認識」として反映されます。残りの22億ドルは、連結貸借対照表上のその他の未払費用の繰延控除項目として計上しています。デルタ航空では、PSPからの支援金を2020年末までにすべて使用する予定です。
また、MD-90、777、737-700の全機材と767-300 ER、A 320の一部を2020年末までに退役させることを、第2四半期中に決定しました。MD-88型機の退役は、当初2020年12月に予定していましたが、2020年6月に前倒ししました。また、ラタム航空からA 350型機4機を購入するという契約も解約しました。これらの決定の結果、25億ドルの航空機関連費用が発生し、連結損益計算書の「機材再編費用」として計上されています。
さらに、ラタム航空への投資で11億ドルの評価損を計上したほか、連邦破産法第11条に基づく破産申請を行ったアエロメヒコ航空への投資で7億7000万ドルの評価損を計上しました。また、ヴァージン・アトランティック航空への投資についても同四半期中に2億ドルの評価損を計上しました。持分法適用会社に係る評価損は、連結損益計算書の「減損及び持分法による投資損失」に計上しています。
第2四半期の業績
4-6月期の業績は、主に上述のCARES法の会計、機材再編費用および投資関連の評価減を調整しています。
GAAP会計基準 | 増減$ | 増減 % | ||||||
(百万ドル *1株当たりおよび単位コストを除く) | 2020 Q2 | 2019 Q2 | ||||||
税引前 (損失) /利益 | (7,014) | 1,907 | (8,921) | NM | ||||
純 (損失) /利益 | (5,717) | 1,443 | (7,160) | NM | ||||
1株当たり希釈(損失)/利益 | (9.01) | 2.21 | (11.22) | NM | ||||
営業収益 | 1,468 | 12,536 | (11,068) | (88) | % | |||
営業費用 | 6,283 | 10,408 | (4,125) | (40) | % | |||
燃料費 | 372 | 2,291 | (1,919) | (84) | % | |||
負債及びファイナンス・リース債務合計 | 24,643 | 9,990 | 14,653 | NM | ||||
有効座席マイル当たりの総収益 (TRASM) | 13.85 | 17.47 | (3.62) | (21) | % | |||
連結単位コスト (CASM) | 59.30 | 14.51 | 44.79 | NM | ||||
1ガロン当たりの平均燃料価格 | 2.25 | 2.08 | 0.17 | 8 | % |
調整済み | 増減 $ | 増減 % | ||||||
(百万ドル *1株当たりおよび単価を除く) | 2020 Q2 | 2019 Q2 | ||||||
税引前 (損失) /利益 | (3,864) | 1,998 | (5,862) | NM | ||||
純 (損失) /利益 | (2,813) | 1,533 | (4,346) | NM | ||||
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | (4.43) | 2.35 | (6.78) | NM | ||||
営業収益 | 1,176 | 12,448 | (11,272) | (91) | % | |||
営業費用 | 4,803 | 10,308 | (5,505) | (53) | % | |||
燃料費 | 357 | 2,274 | (1,916) | (84) | % | |||
調整後純負債 | 13,906 | 9,347 | 4,559 | 49 | % | |||
有効座席マイル当たり総収益(TRASM、調整済) | 11.10 | 17.35 | (6.25) | (36) | % | |||
連結単位コスト(CASM-Ex) | 41.96 | 10.47 | 31.49 | NM | ||||
1ガロン当たりの平均燃料価格 | 2.16 | 2.07 | 0.09 | 4 | % |