ジェーン・スンCEO
中国最大ＯＴＡのＴｒｉｐ.ｃｏｍ（トリップドットコム・グループ）は5月30日、グローバルカンファレンス「ＥＮＶＩＳＩＯＮ2024」を中国・上海市のＷホテル上海で開いた。アジア各国、欧州など50を超える国と地域からサプライヤー（取引先）など約1600人が参加。うち半数はホテルが占めた。日本からは、ホテル・旅館が約100人、鉄道会社・旅行会社・テーマパークなどのサプライヤーが約30人参加した。
トリップドットコム・グループのジェームズ・リャン会長、ジェーン・スンＣＥＯ、ブーン・シアン・チャイ国際市場マネージングディレクター兼副社長らが登壇。コロナ禍を経て急伸長中の同社実績や今後の戦略などを紹介し、世界のサプライヤーたちにさらなるビジネス協業と相互発展を呼びかけた。
創業者であるジェームズ・リャン会長は冒頭のプレゼンテーションで「イノベーション主義（Ｉｎｎｏｖａｔｉｏｎｉｓｍ）」を提唱し、ビジネス全般、そして観光業の未来に向けての新機軸の重要性を強調。「どの業界にもイノベーションが必要だ。私たちは、効率性や品質だけでなく、マーケティングにおいても常に革新的な取り組みを行っている。『ＴｒｉｐＧｅｎｉｅ（トリップジーニー＝同社のＡＩトラベルアシスタント）』などのＡＩ（人工知能）を活用してテクノロジーとコンテンツを融合させることで、カスタマーサービスやマーケティングを強化し、ユーザーに最高の価値を提供することができる」と述べた。その上で「観光業はイノベーションと密接な関係にあり、最高の産業だ」と結論づけた。
ジェーン・スンＣＥＯは同グループの2023年の業績について「ＧＭＶ（流通取引総額）が1600億米ドルに達した。ホテルと航空の予約と収益も前年比300％増となった」と好調ぶりを紹介。24年第1四半期の収益についても、前年同期比で80％以上拡大していると話した。
今後の事業展開については「カスタマー・ファースト（顧客第一）、パートナーズ・セカンド（取引先第二）、トリップドットコム・グルーブ・サード（当社第三）」を戦略的に推進していくとした。
スンＣＥＯはさらに「観光業界は世界のＧＤＰと雇用創出の重要な原動力であり、旅は平和と繁栄への架け橋だ。トリップドットコム・グループがその最前線にいることを誇りに思う」と述べ、「パートナー（サプライヤー）の皆さまのサポートによって、私たちは次の舞台へと進み、共に新たなチャンスをつかもうとしている」と会場の参加者たちに謝意を表した。
ジェーン・スンCEO
ブーン・シアン・チャイ副社長は、「2024年第2四半期のフライトサーチ（航空便検索）目的地は1位日本、2位タイ、3位韓国、4位香港、5位シンガポール。同四半期の宿泊予約目的地は1位日本、2位タイ、3位韓国、4位マレーシア、5位香港」と紹介。現在のトリップ・ドットコム利用者のトップ・デスティネーションが日本となっていることを示した。
トリップドットコム・グループのユーザー数は現在4億人以上で、24言語、35通貨に対応。220以上の国と地域を3400空港で結ぶ600以上の航空会社の航空便が予約可能。契約宿泊施設数は世界170万軒以上となっている。
カンファレンス会場
