ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒がこの冬、大流行している。国立感染症研究所のまとめによると、81年の調査開始以来、患者数は最悪の数となっている。例年、発生のピークとなる1~2月を迎え、全国の旅館・ホテルにどんな対策を講じているのかを聞いた。
温泉旅館A
調理部関係では(1)毎日ミーティング時、対策事項の徹底(2)調理場内においては、調理、盛り付け等食品従事者マスク着用(3)納品等外来者は白衣、帽子、靴の履き替え、マスク着用での調理場へ入室するように徹底。
館内清掃については(1)トイレ清掃者は専従にして手袋、マスク着用のうえ、次亜塩素酸ナトリウムで便器等の消毒実施(2)各部屋およびパブリックのドアノブ、手すり等は次亜塩素酸ナトリウムで消毒実施。
全社員および外来者に対しては、手洗いの励行(手洗いのマニュアルを掲示)。
このほか、専門業者講師による嘔吐物の処理方法講習指導済み。
もしジュウタンに嘔吐された場合は、嘔吐物を取り去り、熱湯を注ぎ拭き取り、スチームをあてアイロンで仕上げる。
社員が下痢、吐き気等の症状が見られる場合は、上司にすべて報告し、ノロウイルスの検査を受けさせて、ノロウイルスの感染の有無を確認。ノロウイルス感染の有無にかかわらず、下痢、吐き気等の症状の改善がみられるまでは出勤停止とすることを実施中。
ビジネスホテルB
弊社では、今回のノロウイルス騒動では、これまでの食中毒での事故という観点より、2次感染の対策が急務と考えている。
弊社はレストランなどで直接お客さまに飲食を提供しているわけではなく、いわゆる宿泊特化型の施設であるため、飲食からの食中毒による被害は出ないと考えている。
しかし、宿泊施設である以上、宿泊するお客さまが外部の飲食や、その方がすでに感染しておられ、弊社施設内で嘔吐や下痢などにより、その汚物を処理している間に弊社の従業員や清掃の外部委託のパート・アルバイトが2次感染し、そこからさらに広がる可能性を危惧している。
すでに、社内や外部委託先と協議をし、厚生労働省や地元保健所のホームページなどから参考にした対応マニュアルをもとに、周知徹底を図り、万が一の際に備えている。
温泉旅館C
先日、全社員を対象にノロウイルスに対する講習会を実施した。内容は以下の通り。
(1)ノロウイルスの知識、感染ルートの学習(2)日常業務において、各々注意および実施しなければならないこと(3)正確な手洗いの実施訓練。
皆、非常に関心があり、有意義な講習会になったと思う。
温泉旅館D
毎日の朝礼で、保健所からの注意事項(手洗い・うがいの励行、嘔吐物の処理、トイレ掃除の菌付着防止)につき、全部署員に耳にタコができるほどの確認と点検。
全社員に生ガキのみならずカキ料理の全面摂取禁止。
ノロウイルス食中毒事件の新聞報道を新聞で出た都度朝礼で読み上げ、注意を喚起。
下痢、嘔吐の症状ある者の勤務禁止。
調理場の調理台および包丁などを使用前使用後に熱湯および希釈次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を実施。
特にお節料理の製造は全社員総がかりで取り組むため、200PPMに希釈した次亜塩素酸ナトリウム液での手の消毒、清潔な白衣の着衣、手術用手袋を装着するが、品目が変わるたびに新品に付け替え、など万全の体制を組む。
温泉旅館E
(1)トイレ掃除の徹底(2)下痢・嘔吐症状の出た従業員の厨房への立入禁止(3)浴場の塩素濃度の若干のアップ。
温泉旅館F
(1)厨房スタッフの手洗い徹底(2)厨房スタッフおよび社員全員の健康管理(インフルエンザ予防注射済み)(3)厨房作業中のマスク着用(4)厨房出入り口に塩素系溶液設置(900×450のバットに塩素系液をはり、長靴をつけ出入りをさせる)(5)風評被害で申し訳ないが、カキ類の感染の恐れのある食材の排除(6)厨房の徹底清掃。
以上、当館料理長を中心に衛生管理の徹底を図っている。
温泉旅館G
(1)調理場のあらゆる所へ薬品入り(ノロウイルスに強いもの)手洗い器を設置し、調理場社員全員の手洗いチェック表を30分おきに実行後に記入させる。毎日総務課チェック(2)貝類は十分に加熱を徹底。カキは当然メニューから外す(3)館外からノロウイルスに侵入された場合の弁明策としての検食の保存の徹底。
対策の一環で、厨房でのマスク着用を徹底(新潟県瀬波温泉・夕映えの宿汐美荘)