一般社団法人のハラル・ジャパン協会(東京都豊島区、佐久間朋宏代表理事)は3日、千葉市美浜区のホテルスプリングス幕張でハラル(ハラール)対応セミナー、見学会「ムスリムインバウンド体験フォーラム」を開催した。今後のインバウンドの伸びが期待されるイスラム教徒への対応策を勉強するため、会場には旅館やホテル、レストランの経営者や幹部社員、流通業者ら190人が詰めかけ、熱心に講演会や施設見学会に参加した。
イスラム教では、豚やアルコールの摂取を禁止する「ハラル」と呼ばれる戒律があり、観光業界ではイスラム教徒受け入れのため、ハラルへの対応が急務となっている。
同協会は、ハラル認証団体ではなく、ハラルに関するリサーチや講演、相談対応、認証団体紹介を行っている。同協会によると、今回のセミナーは、ハラルに関するセミナーとしては日本最大級という。
会場となった同ホテルは、認証団体の一つ、日本アジアハラール協会から日本版ハラル規格「ムスリム・フレンドリーホテル」の認証を取得している。
セミナーは、今後のインバウンド事業の方向やマレーシアの現状、アメリカのハラル事情、日本におけるハラルマーケティングについて、各分野の専門家が解説した。佐久間代表理事も講師として登壇し、「旅館は(内風呂や客室のつくりなど)家族と過ごすムスリム(イスラム教徒)向き。ムスリム観光客は旅館再生に使える」と述べ、インバウンドの主流になると断言した。
昼食は同ホテルが調理した「ハラルランチ」が立食形式で提供され、参加者は珍しそうに手に取って味わっていた。
同ホテルはこの日、イスラム教徒に対応した客室とセントラルキッチンを公開した。部屋にはお祈り用のじゅうたんや聖地メッカの方向を示す矢印の表示、お祈りの時間表を備えている。別のフロアには祈とう室とも備えた。
セントラルキッチンはホテルから1キロ弱離れている。イスラム教徒の食事を専用に調理する場所で、ホテル内の食事だけではなくケータリングや一般小売にも対応する。
将来はマレーシア政府のハラル認証を受けるため、イスラム教徒の従業員の採用を検討しているという。
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今回のセミナーは、近畿日本ツーリストECC営業本部が協賛した。同社は9月5〜9日、旅館やホテル、レストランの経営者、幹部社員を対象にしたハラル現地事情視察ツアーをハラル・ジャパン協会とともに企画した。
マレーシアで現地のホテルやレストラン、スーパーを視察。さらに、マレーシア国際旅行博の会場も見学する。現地セミナーも予定している。行程には同協会スタッフが同行する。旅行代金は10万8千円(燃油サーチャージなど別)。問い合わせ先は、近畿日本ツーリストECC営業本部第8営業支店TEL03(6891)9308。
イスラム教徒対応の客室にはお祈り用のじゅうたんが備わっている