栃木県・那須塩原温泉の旅館「光雲荘」(26室)は、100%源泉かけ流しが自慢の宿。その特徴は、湯量の豊富さと泉質にある。保湿成分であるメタケイ酸が基準含有量の6倍と多量に含まれ、「肌が潤う、美肌の湯」として親しまれている。
その同館では今年の7月、バイタルシステム(東京都北区)の「源泉熱利用給湯ハイブリットシステム」を導入。温泉熱を利用しての省エネとコスト削減に成功している。
システムは、冷やさないと入浴ができない「高温泉」が対象。源泉からの熱エネルギーを利用して水を温め、55度ほどに温まった中温水を既存のボイラーで65度程度に加温し、大浴場のシャワー・カラン、その他の給湯に使用するもの。大浴場の浴槽に送られる源泉は熱交換ユニットによって冷まされる。冷水で薄めることなく適温にするので、源泉100%を楽しめる。
光雲荘の自家源泉は、約73度以上。それを旅館まで引いているが、まだ68度程度あるため、水で薄めていた。「源泉に水を混ぜてはもったいない。また、温泉熱を有効利用できないかとも考えていた」と君島将介社長。
システムを導入してから、その効果ははっきりと現れた。温泉を薄めることもなく、また、夏場の灯油代はそれまでの約4分の1程度になった。「冬場はさらに期待できそう」と話す。
システム導入にあたっては補助金制度を活用し、導入費用の約3分の1を賄った。「煩雑な書類作成や申請などはすべて、バイタルシステムが行った」と君島社長。
今後は再び同社と組み、二酸化炭素(CO2)の排出枠を取り引きする「国内クレジット制度」の認証を目指す。
この件についての問い合わせ先は、バイタルシステム(TEL03・5948・2038)。
光雲荘では足湯も楽しめる