ベトジェット副社長 ジェイ・L・リンゲスワラ氏
国際線シェア5割超 ビジネスクラスも提供
日本就航5周年、日越外交樹立50周年で来日したベトジェットの副社長に話を聞いた。
――ベトジェットの日本路線はどうなっているか。
「ベトジェットは2018年11月に大阪―ハノイ線を初就航。今年7月には東京（羽田）―ホーチミンに新たな直行便を開設した。現在の定期路線は7路線。東京（成田・羽田）―ハノイ、関西―ホーチミン、名古屋―ハノイ、福岡―ハノイで運航している。ベトナムから新潟、静岡、福島、和歌山、愛媛、鹿児島、宮城などの日本各県の空港へのチャーター便も運航している。また、ベトジェットの関連会社であるタイ・ベトジェットは、22年7月に福岡―バンコク線、今年2月に大阪―チェンマイ線を開設して日本に進出した」
「現在から年末までの毎週水曜、木曜、金曜に、日本―ベトナム間の全路線を対象に、片道1万3990円からの航空券を販売している。諸税、燃油サーチャージもこれに含まれている。搭乗期間は24年3月までとなっている」
――一般的にＬＣＣ（ローコストキャリア）は、2地点間の移動には便利だが、乗り継ぎには向いていない、ネットワークに不安があるという印象を持たれている。
「ベトジェットは、東南アジア、北東アジア、中央アジア、オーストラリアに路線を拡大し、16の国と地域に就航している。98の空港で国際線に接続しており、1日当たり468便の国内線、国際線を運航している」
「東京・大阪・名古屋・福岡からホーチミン・ハノイを経由して、バリ、ジャカルタ、シドニー、メルボルン、ブリスベーン、ニューデリー、ムンバイ、アフマダバード、コーチン、ティルチラーパッリへ向かう場合、スルーチェックインができる。ベトナムでの入国審査も手荷物受け取りと再チェックインは不要だ。もちろん、ベトナム国内の主要観光都市であるダナン、フーコック島、ニャチャンへの乗り継ぎも便利だ」
――国際線シェアは。
「23年上半期の国際線旅客数は350万人だった。これはベトナム発着の国際線旅客数690万人の50％以上を占めている」
――ＬＣＣの座席幅、シートピッチの狭さを敬遠する人も多い。
「実は保有機材103機のうち7機はワイドボディのＡ330で、こちらにはビジネスクラスを設定している。専用キャビンでのフラットベッド、プレミアム機内食の無料サービス、機内持ち込み手荷物18キロ、受託手荷物40キロとゴルフクラブセット、出発前のビジネスラウンジの利用、機内までの専用車の提供がある」
――航空券の販路は自社サイトのみか。
「販路を自社ウェブサイトに絞って失敗したＬＣＣが実は多い。私たちの航空券は、ベトジェットのウェブサイト、ベトジェットエアアプリ、ＯＴＡ、フェイスブックなどのオンライン販売のほか、ベトナム国内、日本国内、および世界各地の旅行代理店やベトジェットチケットオフィスを通じた従来の販売窓口でお求めいただける。旅行会社、ＯＴＡとの取引は大切だと考えている」
――日本の温泉、旅館に行かれた経験は。
「数カ所訪れたことがある。層雲峡温泉は温泉だけでなく絶景も素晴らしかった。箱根温泉では富士山も望めた。自然に囲まれた景観の中で豊かな温泉に浸かってリラックスする。極上の体験だった。鹿児島の温泉地にも行った。京都の旅館に泊まった時のおもてなし、京懐石料理、畳、引き戸、初めて着た浴衣も強く印象に残っている」
――日本料理はベトナム人には淡泊すぎないか。
「私はマレーシア人だが、べトナムに10年間住んでいる。ベトナム人は旅館も和食も必ず気に入ると思う。和食とベトナム料理には共通点が多い。野菜をふんだんに使うし、主食は米。ベトナム料理ではエビや魚醤（ぎょしょう）、香草も良く使われる。ベトナム人に和食は合う。ちなみに私の家族は全員日本のおすしの大ファンだ」
――ベトナムにも温泉地はあるのか。
「泥温泉は有名だ。ビンチャウ温泉、ニャチャン温泉などがある。日本人の特に温泉好きの方々にはぜひ体験していただきたい」
Ｊａｙ Ｌ Ｌｉｎｇｅｓｗａｒａ（Ｖｉｃｅ Ｐｒｅｓｉｄｅｎｔ’Ｃｏｍｍｅｒｃｉａｌ’Ｖｅｔｊｅｔ Ａｉｒ） マレーシア出身。大手航空会社で約10年間、会社の営業戦略策定と実行を担当。2015年にベトジェットエア（ホーチミン・ベトナム）に入社。19年5月、コマーシャルディレクター、23年4月、コマーシャル・ヴァイスプレジデント（現職）。【聞き手・kankokeizai.com編集長 江口英一】
