日本政策金融公庫はこのほど、生活衛生関係営業(生衛業)の価格動向に関するアンケート調査の結果を公表した。仕入れ価格が上昇した企業割合はホテル・旅館で51・9%と半数以上に達したほか、上昇分を販売価格に転嫁できた企業割合は約4割にとどまり、半数以上が転嫁できていない状況だ。
調査は昨年9月上旬、ホテル・旅館、飲食、理容、クリーニングなど生衛業3290企業に実施。このうち2875企業から有効回答を得た。ホテル・旅館は158企業が回答した。
ホテル・旅館の仕入れ価格の動向は、「上昇した」が51・9%で、以下、「変わらない」が45・6%、「低下した」が2・5%。
「上昇」と回答した割合の過去5年間の推移(2013年~2017年)を見ると、63・9%、78・8%、74・1%、52・3%、51・9%と、常に半数を超えている。
生衛業全体は、上昇が49・7%、変わらないが46・5%、低下が3・8%だった。上昇の割合は2014年の71・1%をピークにこのところ下降傾向にあったが、3年ぶりに前年を上回った。
仕入れ価格上昇分を販売価格に転嫁できたかどうかは、ホテル・旅館は「おおむね転嫁できている」が11・0%、「一部転嫁できている」が28・0%、「全く転嫁できていない」が56・1%、「分からない」が4・9%。転嫁できている企業は「おおむね―」と「一部―」を合わせた39・0%となっている。なお「全て転嫁できている」はゼロだった。
販売価格の動向は、ホテル・旅館で「引き上げた」が18・5%、「据え置いた」が73・2%、「引き下げた」が8・3%。
今後1年間の販売価格見通しは、全業種で83・6%が「据え置く」、15・6%が「引き上げる」、0・7%が「引き下げる」としている。
仕入れ価格が上昇したことによる経営悪化への影響は、ホテル・旅館で20・7%が「かなり影響がある」、64・6%が「ある程度影響がある」と回答。仕入れ価格が上昇したホテル・旅館のうち、9割近くが自社の経営に悪影響があるとしている。このほか8・5%が「どちらともいえない」、6・1%が「影響はない」だった。
仕入れ価格上昇への対策は(複数回答)、全業種で「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」(37・0%)、「原材料等のコスト管理の徹底(廃棄ロスの削減など)」(35・3%)、「仕入れ先の変更」(32・9%)など。
このうち対策で効果的だったのは(二つまでの複数回答)、「諸経費の削減」(34・7%)、「仕入れ先の変更」(31・8%)、「原材料等のコスト管理の徹底」(29・4%)などとなっている。
今後1年間の仕入れ価格見通しは、全業種で47・0%が「上昇する」、50・0%が「変わらない」、3・0%が「低下する」としている。