ホテル・旅館の業況DI 2期ぶりに低下 日本公庫調査 7~9月期


 日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の景気動向等調査の7~9月期分を公表した。同期のホテル・旅館の業況判断DIは前期比11.5ポイント減の15.6と、2期ぶりに低下した。ホテル・旅館から「南海トラフ情報でキャンセルが相次ぎ売り上げ大幅減」などの声が上がっている。

 DIは前期比で業況が好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値。調査は9月中旬、生活衛生関係営業3290社に行い、3142社から有効回答を得た。ホテル・旅館は180社が回答した。

 全業種計は前期比10.0ポイント減のマイナス5.3。生衛業の景況について同調査は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と、前期の「持ち直しの動きに弱さがみられる」から判断を下方修正した。

 来期(10~12月期)はホテル・旅館が8.9と今期から低下の見通し。全業種計は今期比3.9ポイント増のマイナス1.4。

 同期の売上DI(前年同期比で売り上げが増加の企業割合から減少の企業割合を引いた値)は、ホテル・旅館が前期比17.8ポイント減の19.4と、3期ぶりに低下した。来期は14.4と今期からさらに低下の見通し。

 業況判断理由についてホテル・旅館から次のような声が上がっている。

 「インバウンドが回復傾向にあり、特に韓国の団体ツアー客が好調である。宿泊単価も上昇し利益率が向上した」(今期、好転、北海道)。

 「南海トラフ地震臨時情報の発表に加え、台風に関する報道の影響もあり、宿泊のキャンセルが相次ぎ大幅に売り上げが減少した」(今期、悪化、徳島県)。

 「来期は秋の行楽シーズンであり、インバウンドの増加を期待している」(来期、好転、鳥取県)。

 「売り上げの増加以上に原材料費や経費が高騰し、利益を圧迫するだろう」(来期、不変、山形県)。

 飲食業からは次のような声が上がっている。

 「インバウンドは増えているが、連日の猛暑で常連客の来店が落ちているので、トータルでは収支トントン」(今期、不変、福岡県)。

 「物価高騰が続き消費者の節約志向が強い上に、仕入れ価格の上昇もあり、利益がほとんど出ない」(今期、悪化、愛媛県)。

 「来期は忘年会など飲食する機会が増えるため、期待している」(来期、好転、鹿児島県)。

 「これ以上の値上げは困難なため、現状維持が精一杯」(来期、不変、北海道)。

 
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