返済本格化で先行き懸念
帝国データバンクがこのほど公表した2021年度(2021年4月~2022年3月)のホテル・旅館経営業者の倒産(負債1千万円以上の法的整理)は前年比47.9%減の61件と、この10年で最も少なかった。コロナ禍での国や自治体による資金繰り支援などが中小零細企業の倒産を抑制していると見られるが、今後はこれら融資の返済が本格化する見通し。原材料価格高騰など、経営を圧迫する他の材料もあり、倒産や休廃業の増加につながらないか、先行きが懸念される。
21年度の倒産件数を月別に見ると、10件以上の2桁がなかった。最も多かったのが8月の9件。
一方、同年度の負債総額は前年比57.5%増の1294億9700万円と、この10年で最も多かった。5月に元・ホテル、レジャー施設運営の東京商事(東京都)が負債1004億8300万円で特別清算となり、全体を押し上げた。
21年度の倒産件数の全業種計は5916件と、前年度を19.1%下回るとともに、1965年以来、56年ぶりに6千件を下回った(1999年以前は任意整理を含む倒産件数)。負債総額も1兆1828億7100万円と、前年を2.8%下回るとともに、4年連続で減少した。
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