日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館業、飲食業、美容業など生活衛生関係営業の景気動向等調査の7〜9月期分を公表した。同期のホテル・旅館業の売上DIはマイナス4.2で、前期(4〜6月期、マイナス5.4)から1.2ポイント上昇した。生衛業全体はマイナス16.7で、前期(マイナス14.6)から2.1ポイント低下した。公庫では生衛業の景況を「持ち直しの動きが続いているものの、改善幅は小幅にとどまっている」としている。
売上DIは前年同期比で売上高が増加した企業割合から減少した企業割合を引いた値。
生衛業全体では、前期から低下したものの、2010年1〜3月期を底に上昇基調にある。
9の業種別では、ホテル・旅館のほか、食肉・食鳥肉販売業、理容業、美容業、公衆浴場業の4業種で前期比上昇。飲食業、映画館、クリーニング業、氷雪販売業の4業種で同低下した。
来期(10〜12月期)の見通しは、全業種で今期比4・2ポイント上昇のマイナス12.5。業種別では、ホテル・旅館業がプラスマイナス0まで上昇する見通し。
ホテル・旅館業の特徴的な業況判断理由は次の通り。
「円安が続く状況は業界にもプラスの影響を与え、訪日外国人の増加により宿泊客が多くなっている」(今期好転、大阪府)。
「小規模旅館ながらネット配信による営業が知名度を増し、安定した誘客につながっている」(今期不変、鳥取県)。
「消費増税分を宿泊価格に転嫁できなかった。また、台風の接近により、お盆前後の繁忙期にスポーツ団体等の予約がキャンセルになり、売り上げが減少した」(今期悪化、宮崎県)。
「住宅建設にマンション建設が加わり、工事関係のお客さまが期待できる」(来期見通し好転、岩手県)。
「消費増税による影響は一段落。レストラン、宿泊、宴会は増収予想だが婚礼の獲得が不透明である」(来期見通し不変、高知県)。
「増税が重荷になり、景気回復が遅くなるので、ますます経営は厳しくなる」(来期見通し悪化、秋田県)。