「白玉の湯泉慶」「白玉の湯華鳳」を経営する株式会社ホテル泉慶(新潟県月岡温泉、飯田浩三社長)は5月14日、白玉の湯華鳳で会社創立50周年の記念フォーラムを開いた。小泉政権時代に首相秘書官を務め、現在は内閣参与の飯島勲氏が現在の政局を講演。元岩手県知事の増田寛也氏と新潟県内の経済界、学界関係者が「新潟から発信する地方創生に向けた産学への期待」をテーマにシンポジウムを行った。
飯島氏は現在の安倍政権について「アベノミクスに一部の批判もあるが、デフレ経済が脱却に向かい、株価も回復している。次の内閣ができても、決して後戻りをしてはならない」と評価。また大きな課題として「人口減少に今から対策を打っておかねばならない。日本の自治体がことごとく消滅しかねない。地方創生とは別の問題だ」とした。
飯島氏は「これからの日本の産業を引っ張るのは農業と観光だ。ともに風土、風習、風味と、“三つの風”が大切。ここだけしか見られないもの、ここだけしか手に入れられないものを作ることだ」とした。
シンポジウムは厚生労働省社会・援護局長、消費者庁次長、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官などを歴任した山崎史郎氏をコーディネーター、増田氏ら4氏をシンポジストに行われた。
増田氏は「地方創生の核心は地方に雇用の場を作ることだ。若者は一定の年齢になると、多くが東京に出ていく。若者が働ける場、若者にとって魅力のある仕事の場を、どう増やしていくかだ。仕事のバリエーションが少ないし、長時間働いても賃金が少ないのであれば、みんな東京に出ようという気になってしまう。地方創生も働き方改革も、一体で取り組まなければならない」と指摘。
さらに「地方の子育て環境をよくすべきだ。この点は東京に比べて地方の方が有利で、思い切った改革ができる。雇用も含めて、若者向けの政策をどんどん実行することが地方創生につながる」と述べた。
日本銀行新潟支店長の亀田制作氏は、地方創生を図る具体的手段の一つとしてインバウンドを含めた観光振興を挙げた。
また今後の課題として「PR力」「IT活用力」「変化をいとわない気持ち、怖がらない気持ち」の3点を挙げ、このうちPR力については「宣伝には具体性が必要。例えば『食』と言うだけではダメだ」「宣伝には目玉も必要。最初から全てを平等にはできない。目玉になり得るのは佐渡だ」とした。
新潟大学学長の高橋姿氏は、学生の県内での就職率向上と国内外からの人口流入を目指した同学の地方創生推進事業「NIIGATA COC+事業」を解説。
同学を中心に、地域の自治体、企業、経済団体、教育機関などが一体で、長期インターンシップ制度や専門人材認定制度の導入、高度外国人材の活用などを推進。地元企業への地元学生の就職率10ポイントアップなどを目指している現状を述べた。
亀田製菓会長CEOの田中通泰氏は、住民税相当分(654億円)を地域内で利用できる買い物券として住民に還付し、県内経済の活性化を図るとした、新潟県における地方創生のアイデアを披露。県職員の人件費を10%削減(232億円)、公共工事支出額を50%削減(456億円)することで実現できるのではないかとした。