日本素材のアメニティで宿泊市場に付加価値提供
アメニティ市場シェアトップのポーラ(東京都品川区)は5月20日、体験型新ブランド「IUGEN(イウゲン)」を発売した。シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ&バスジェルの3点をラインアップ。
発売に伴い、BtoB事業部でブランド担当の藤田唯子氏=写真=に、ブランドの開発の背景を皮切りに、製品の特徴や今後の展開などを聞いた。
――開発の背景を。
背景には、「富裕層旅行市場の拡大」と「文化体験ニーズ」の高まりがある。富裕旅行客に向けて「施設さまと共に、唯一無二のラグジュアリー体験をお届けしたい」。そんな思いで、企画がスタートした。
――ブランド名の由来をはじめ、コンセプト、デザインなどについて説明を。
今回発売したIUGENは、8年ぶりのアメニティ新ブランド。ブランド名は、古来、多くの日本文化に影響を与えながらも、体験した人にしか感じることができない奥深い美しさを意味する「幽玄(ゆうげん)」に由来する。
今、そこにある姿だけでなく、曖昧なもの、目に見えないものを自然から感じ取る日本人の美意識をヒントに、さまざまな情景へ想像が膨らみ、幽玄の世界へ誘うようなデザイン。
――製品ラインアップのシャンプー、コンディショナー、ボディーソープ&バスジェルの紹介を。
こだわりは、日本の素材をイメージした趣深い2種の香り。
シャンプーとコンディショナーは、レモンや黒酸塊(くろすぐり)などといったシトラスなトップが特徴のみずみずしい静けさとともに落ち着きのある「山紫水明の香り」。
ボディーソープ&バスジェルは、神秘的な白檀(びゃくだん)と共に自分を慈しむ「理想郷の香り」。小豆くずや黒コショウといったスパイシーなトップがアクセント。
シャンプーは、つけてすぐに泡立つ絹のようななめらかな濃密泡で、毛穴の内部まで届き、丁寧に洗浄しながら心地よい指通りを体感できる仕上がり。
コンディショナーは、豊富な天然由来保湿成分がキューティクルを整え、髪を熱や塩分ダメージから保護し、毛髪内部の水分量を高めてツヤを与える。
ボディーソープ&バスジェルは、1品で2通りの泡を楽しめ、きめ細かい泡で毛穴の内部まで洗浄し、天然由来保湿成分でしっとりした後肌に導く。
――昨今話題のサステナブルな環境への取り組みについては。
日本人が尊び、調和してきた自然の循環をテーマに、サステナブルな環境に配慮した日本の天然由来保湿成分を配合した。ヘチマ果実、葉、茎エキスは、原料の売り上げの一部をサンゴ礁保護活動に寄付する。酒かすエキスは、純米酒製造時の副産物である酒かすを使用したアップサイクルの原料。トウミツは、和三盆糖製造時の副産物である糖蜜を使用したアップサイクルの原料。
併せて、容器には100%再生PETを採用し、資源の循環を通じた自然環境との調和を図る。
――旅館・ホテルではIUGENを採用することで、どういったことが見込めるか。
宿泊単価の高騰に伴い、新たな付加価値の提供が求められていることから、アメニティを通してそれに貢献できるのがIUGENの魅力。おもてなしレベルの格上げにつながるだろう。
――今後の展開については。
入浴、香り、化粧の伝統をポーラならではの視点で解釈、進化させた「入浴の道」「香りの道」「化粧の道」として、体験型コンテンツを提供予定。旅館・ホテルでも客室などにQRコードを用意し、IUGENブランドの楽しみ方の提案にも取り組む。
――旅館・ホテルへのメッセージを。
旅は感性を研ぎ澄ませて気付きが深まる場と考えている。IUGENの想像力が膨らむ体験を通して、美意識がさえ渡る感覚や新しい自分との出会いを楽しんでいただきたい。IUGENの思想に共感いただける施設さまと共に、日本の魅力を世界へ発信していきたい。
創業100周年を迎える2029年に向けて「ジェンダー、年齢、地域格差などさまざまな『壁』の解消」をサステナビリティゴールに掲げ、「We Care More.世界を変える、心づかいを。」という行動方針のもと、今後もさまざまな取り組みを強化していく。
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ポーラ 本社=東京都品川区西五反田2の2の3▽資本金=1億1千万円▽従業員数=1329人(2023年12月末現在)▽事業内容=化粧品、ホテルアメニティ、健康食品の製造、販売▽年商=984億9900万円▽連絡先=TEL(0120)117111。
ポーラ BtoB事業部 藤田唯子氏