メタ観光推進機構が総会 ナイトタイムエコノミーで意見交換


記念シンポジウム

 メタ観光推進機構(東京都渋谷区、牧野友衛代表理事)は3月19日、「2023年度メタ観光総会」を渋谷区のタイムアウトカフェ&ダイナーで開いた。

 同協会理事でナイトタイムエコノミー推進協議会代表理事の齋藤貴弘弁護士は、キーノートスピーチ「夜の街角から考えるナイトタイムエコノミーの再定義」の中で、「欧米を中心とする海外都市は、多様性社会の実現や国際競争力強化という視座でナイトタイムエコノミー推進に取り組んでいる。住民の暮らしを豊かにし、世界から多様な人材や企業を集め、観光などを通じて地域経済を活性化していく。そのために夜をいかに活用していくかという議論は、さまざまな海外都市がパンデミック中も活発に行い、パンデミック後のナイトタイムの取り組みをスタートしていた」と紹介。都市におけるナイトライフの重要性については「ナイトライフは、社会的な階層や文化的分断のない場所であり、LGBTQなど疎外された人々にとってエンパワーメントの場所だ」と説明した。

 記念シンポジウム「ナイトタイムのメタ観光」には、同機構理事でタイムアウト東京代表の伏谷博之氏、オンラインスナック横丁文化代表の五十嵐真由子氏、夜景観光コンベンション・ビューロー代表理事の丸々もとお氏、闇歩きガイド・体験作家の中野純氏らが登壇した。

 伏谷氏は「タイムアウトは1968年にロンドンで創刊されたシティガイドで、現在では東京を含む世界333都市で展開している。東京観光財団とタイムアウト東京の共同企画で、グローバルのタイムアウトの編集者・ライターを集めて座談会を行ったのだが、『東京は大都会だけど観光地にはなってほしくない』と口々に語っていた。渋谷エリアでも他の海外都市に比べると暮らしている人が多い。そこに暮らす人たちが楽しんでいるからこそ海外から来る人々に魅力的であるということだ」と述べ、都市の魅力の本質を指摘した。

 コロナ感染拡大時のスナック支援として「オンラインスナック横丁」を始め、「外国人・初心者向けスナックツアー」も行っている五十嵐氏は、「全国のスナック数はコンビニより多い10万軒。日本独自の形態のため、外国人の間でのスナック認知度はゼロに等しい。そのため、スナックツアーの参加者の8割は欧米富裕層の日本旅行リピーター。予約経路はインスタグラムからの直予約が8割」と現状を披露した。

 丸々氏は、夜型観光と夜景観光の関係性について解説。「夜景観光は夜型観光に含まれ、夜間経済促進に結びつくパワーコンテンツに位置付けられる。観光での滞在を昼間と夜間の時間軸で捉えたより細かな情報提供、設定が求められている」と述べた。

 夜型観光と夜景観光の具体的領域については、夜型観光として「音楽・ライブ」「夕食・グルメ」「酒(バー・居酒屋)」「癒やし(マッサージなど)」「夜景観光」があると説明。その夜景観光の種類には、「夜景」「花火」「ライトアップ」「イルミネーション」「工場夜景」「プロジェクションマッピング」「キャンドル」「夜桜」などがあるとした。

 中野氏は「抜群に治安が良い日本は世界的な観闇名所になりうる」と強調。「私がガイドとして30年ぐらい行っている『闇歩き』では、夜の山をなるべくライトに頼らないで歩く。そうすると、明るい都市生活の中で眠らされている五感が大変な勢いで呼び戻される。視覚、聴覚、嗅覚などが覚醒し、夜行性の獣、あるいは、超能力者になったような研ぎ澄まされた感覚を味わうことができる」と話し、夜の観光の多様性と潜在力を示唆した。


記念シンポジウム

 
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