ユナイテッド航空などは4日、 バイオテクノロジー企業との新たな燃料源の共同開発を発表した。
(このプレスリリースは米国中部時間3月29日に米国で発表された英語版プレスリリースの抄訳版です)
- ヒューストン拠点のセンビタ・ファクトリー社の合成バイオ技術には、持続可能な航空燃料(SAF)の新製法を生み出す可能性
- ユナイテッド航空のSAF製造への投資は世界の航空会社で最大に
ユナイテッドエアラインズ・ベンチャーズ(UAV)とオクシ・ローカーボン・ベンチャーズ社(OLCV)は、3月29日(米国中部時間)、ヒューストンに拠点を置くバイオテクノロジー企業センビタ・ファクトリー社と協業することを発表しました。今後、二酸化炭素(CO2)と合成微生物を用いた画期的な新製法で持続可能な航空燃料(SAF)を製造し、商業化することを目指します。UAVは同時にセンビタ・ファクトリー社への出資も発表しました。OLCVはオキシデンタル石油(Oxy)の子会社であり、センビタ・ファクトリー社の創業出資者でもあります。
SAFは石油以外を原料とし、ライフサイクルでの温室効果ガス排出量を削減できる代替ジェット燃料です。ユナイテッド航空は、SAF製造に他のどの航空会社よりも多額の投資を行っています。
UAVの社長マイケル・レスキネンは、「ユナイテッド航空は、気候変動対策に関して、一貫して大胆な行動で航空業界をリードしてきました。それは、新たなSAF技術の開発・商業化に向けセンビタ・ファクトリー社のような企業とともにエコシステムを構築することから始まります。これはまさに世界的な緊急課題であり、今回のオクシ・ローカーボン・ベンチャーズとの協力は、セクターを超えた関係を構築し、弊社の持続可能性目標に賛同する企業と協力していくという弊社の決意を反映したものです」と述べています。
ユナイテッド航空とOLCVは、これまでにも気候変動対策への新たなアプローチについて協力してきました。UAVとOLCVは、二酸化炭素を炭化水素に変換しSAF供給用とするセンビタ・ファクトリー社の開発事業に共同出資します。今後、その性能が目標に達成した場合には、UAVとOLCVはこの技術を商業化する合弁事業を設立する計画です。それには、生産準備プラントやデモ用プラント、工学研究、建設資金調達、SAFプラント稼働等のプロジェクトへの出資が含まれます。
Oxy社の米国オンショア・リソース・カーボン・マネジメント及びオペレーション担当社長のリチャード・ジャクソンは、「SAFの使用は、気候変動対策への有望なアプローチであり、これにより航空機からの排出量を世界全体で大幅に削減し、脱炭素化の取り組みを推進することが期待できます。弊社はユナイテッド航空およびセンビタ・ファクトリー社と協力し、今後SAFに対する革新を加速させ、商業規模まで到達させることを切望しています」と述べています。
今回発表されたセンビタ・ファクトリー社への投資は、UAVにとって3件目となるSAF関連技術への投資です。2021年に設立されたUAVは、従来のカーボンオフセットに頼らず、2050年までに排出量をネットゼロにするというユナイテッド航空の目標を支えるスタートアップ企業、最先端技術、そして持続可能性コンセプトを投資対象としています。ユナイテッド航空は、SAF製造企業に加えて、二酸化炭素回収技術、水素電気エンジン、電動リージョナル航空機、アーバンエアモビリティなどの画期的技術への戦略的投資を積極的に推し進めています。SAFには、石油由来のジェット燃料と同等の性能を持ちながら、ライフサイクルベースで炭素排出量を微量に抑える可能性があります。
センビタ・ファクトリー社は、合成バイオ技術を用いて二酸化炭素を化学物質や持続可能な航空燃料などを含む代替燃料に変換しています。同社は、この技術をいち早く採用して重工業の脱炭素化を支援するとともに、微生物学を用いて二酸化炭素を燃料に変換する方法を見出しています。 センビタ・ファクトリー社の共同創業者兼CEOモジ・カリミは、「今回、このエキサイティングな取り組みにおいて、ユナイテッド航空およびOxyと協力できることを光栄に思います。ユナイテッド航空が航空業界の脱炭素化の取り組みをリードしていることは素晴らしいことです。また、OLCVと再び協力し、これらの解決策をより大規模なスケールで提供できることを誇りに思います」と述べています。
ユナイテッド航空の環境への100%コミットメント
同社が持続可能性をフライトの新基準とするために実施している計画の一部は、以下のとおりです。
- 2021年12月、ユナイテッド航空は、水素電気エンジン開発企業であるゼロアヴィアへの出資を行い、リージョナル航空機向けの排出ガスゼロを可能とするエンジンに対して投資を行った最大の航空会社となりました。
- 2021年12月、ユナイテッド航空は、2発の内1発のエンジンにSAFのみを使用して旅客便を運航し、航空史上初の取り組みとなりました。
- 2021年9月、ユナイテッド航空は5,700万人以上の乗客の飛行に十分な量となる15億ガロンのSAFをアルダー・フューエルズ社から購入することに合意しました。また、フルクラム・バイオエナジー社の出資者でもあるユナイテッド航空は、さらに最大9億ガロンのSAFを購入するオプションを有しています。
- 2021年7月、ユナイテッドエアラインズ・ベンチャーズ(UAV)は、ブレイクスルーエナジー・ベンチャー社およびメサ航空とともに、電気飛行機のスタートアップ企業ハートエアロスペース社に出資しました。ハートエアロスペース社は、再生可能な電力により二酸化炭素排出量ゼロで飛行できる、19人乗りの電気旅客機「ES-19」を開発しています。
- 2021年7月、『Air Transport World』誌はユナイテッド航空を3回目となる「Eco-Airline of the Year」に選出しました。
- 2021年2月、ユナイテッド航空は、アーチャー・アビエーション社と電気飛行機の開発・製造を加速化させることで合意したと発表しました。この電気飛行機は、将来「エアタクシー」として運航できる可能性のある都市交通における解決策です。ユナイテッド航空の旅客が同社のフライトを利用する際、空港までのタクシーとして利用し、二酸化炭素の排出を削減できる新たな機会を提供するものです。
- 2020年、ユナイテッド航空は、ダイレクト・エア・キャプチャー(直接空気回収)と呼ばれる二酸化炭素の捕集・貯蔵技術への投資にコミットメントを表明した初のエアラインとなりました。ユナイテッド航空は、気候に関する目標達成への重要な道筋として、二酸化炭素の捕集・貯蔵への投資に引き続き取り組んでいます。
- 2019年、ユナイテッド航空は「Flight for the Planet」を運航しました。このフライトは、民間航空史で最も環境に配慮した商用フライトとなりました。
- 2018年、ユナイテッド航空は2050年までにGHG排出量を50%削減すると宣言した初の米国エアラインとなりました。その後この目標は100%へとさらに強化されました。
- 2016年、ユナイテッド航空はワールド・エナジー社のSAFを採用し、SAFを通常のフライト運航便で継続的に使用する世界初のエアラインとなりました。
ユナイテッド航空について
ユナイテッド航空は「人と人をつなぎ、世界をひとつにする」ことを目指しています。2019年、ユナイテッド航空は、リージョナル航空会社パートナーであるユナイテッドエクスプレスとともに、世界で170万便以上のフライトを運航し、計1億6,200万人以上の旅客を輸送しました。ユナイテッド航空は、北米航空会社の中で最も広範囲なフライトネットワークを誇り、米国本土においてシカゴ、デンバー、ヒューストン、ロサンゼルス、ニューアーク/ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンDCにハブ空港を有しています。ユナイテッド航空についての詳しい情報は united.comをご覧ください。ユナイテッド航空の親会社であるユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス・インクは、ナスダック市場(Nasdaq)にUALのシンボルで上場しています。
ユナイテッドエアラインズ・ベンチャーズについて
ユナイテッド航空は、同社のコーポレートベンチャーキャピタルファンドのユナイテッドエアラインズ・ベンチャーズ(UAV)を通じて、旅行の未来に影響を与える可能性を秘めた新興企業に継続投資を行っています。このファンドは、従来のカーボンオフセットに頼らず2050年までに排出量をネットゼロにするというユナイテッド航空の目標を支える持続可能性コンセプト、および同社の顧客と事業に価値をもたらすことが期待される画期的な航空宇宙開発や革新的技術に重点を置いています。UAVに関する詳細は、https://www.united.com/venturesをご覧ください。
オクシ・ローカーボン・ベンチャーズについて
オクシ・ローカーボン・ベンチャーズ(OLCV)は、主に米国、中東、北アフリカに資産を持つ国際的エネルギー企業オキシデンタル石油(Oxy)の子会社です。OLCVは、二酸化炭素排出量を削減しながらOxyの事業を強化させる最先端の低炭素技術やビジネスソリューションの推進に注力しています。またOLCVは世界中で、低炭素燃料・製品の開発、および炭素回収プロジェクトを支援する二酸化炭素隔離サービスへの投資も行っています。詳細については、oxy.comのCarbon Innovationをご覧ください。
センビタ・ファクトリー社について
センビタ・ファクトリー社は、二酸化炭素を付加価値製品に変換することで持続可能な未来を構築することを使命としています。同社の変換プラットフォームは、自然プロセスを模倣するバイオミミクリーを活用し、持続可能な方法で化学物質やポリマーを生産するものです。また同社のバイオテクノロジープラットフォームは、鉱業や石油・ガスなどの重工業向けの低炭素バイオプロセスの開発・最適化にも利用されています。詳細については、www.cemvitafactory.comをご覧ください。