旅館・ホテルの設備投資や改装工事、社員研修、販売促進などのコンサルティングを行うリョケン(静岡県熱海市)は12月10日、無料オンラインセミナーを開催した。例年12月に、全国の旅館経営者、幹部らを集め「旅館大学セミナー」として開講しているが、現在のコロナ禍を受けて切り替えた。
今回は、旅館・ホテルの経営の在り方と、重点課題の分析と提言を行う「令和3年旅館の経営指針」に基づいて発表。基調講演はリョケンの佐野洋一社長が担当した。危機の渦中にある今こそ、これまでの経営の在り方を変革するチャンスでもあるとして「高収益経営へ Chance to Change!」をテーマに掲げた。持続性のある「ポストコロナ時代」の経営の在り方をはじめ、存在価値の再点検や、付加価値の幅を広げるビジネスモデルを探った。
コロナ禍の中で学んだこととして、「宿泊客を待つ以外にも売る術(すべ)はある」と指摘。持ち帰りや、仕出し、配達、オンラインショッピングなどを開始した旅館の事例なども交えて紹介した。また、危機に備えることの大切さを説いた。具体的には(1)手元流動性の大切さ(2)金融機関との信頼関係(3)安定的な自己資本比率(4)顧客リストの整備(5)BCP(事業継続計画)の意義―の5点を挙げた。
今、経営者がやるべきこととして、事態終息後の経営についても今から考えておく必要があるとした。具体的には、短期と中長期の両方の視点で経営を考える必要があり、短期はあくまでオペレーションに徹し、中長期は経営の骨組みを見つめ直すことが重要とした。
当日は、「経営計画リ・モデルの年 量から質へ」と題した経営指針のテーマ別講演も開催。浜荻仁志常務をはじめとする6人のスペシャリストが登壇した。
併せて、2020年にリニューアルを行った元気印の旅館として、「皆生グランドホテル天水」(鳥取県皆生温泉)や「ホテル金波楼」(兵庫県日和山温泉)、「斎藤ホテル」(長野県鹿教湯温泉)などの事例を紹介した。
佐野社長