温泉、観光地の旅館・ホテルの経営指導に定評があるリョケン(本社静岡・木村臣男社長)の恒例の「旅館大学セミナー」(通算142回、今年度1回目)が14、15の両日、石川県山代温泉の「ゆのくに天祥」に、全国から150人を超える旅館・ホテルの経営者、幹部社員を集めて開かれた。
今回のテーマは「ゆのくに天祥の品質重視の経営への取り組み」。高い業績を維持し続ける同館の経営手法を、経営・財務戦略、サービス、施設整備など、それぞれの面から具体的な実践事例を紹介。また昨年6月にオープンした全室スイート客室の特別フロア「然Zen」にみる商品づくりの取り組み方を学んだ。
1日目はリョケンの木村社長のあいさつで開講。数班に分かれて、改装された同館の大浴場、食事どころ、客室を見学。個人・グループ客対応の施設づくりに参加者は真剣な眼差しを向け、「経営の参考になる」との声がしきりに聞かれた。
また同館を経営する株式会社ホテルゆのくにの新滝英樹専務が「ゆのくに天祥の品質重視の経営への取り組み」と題して講演した。
同氏は、地元のグループ客、ファミリー客を最大のマーケットとして(1)お客さま満足度(2)財務バランスを重視した経営──などの事例を紹介。「不況期こそ個人客の絞り込み、仕組みの見直し、そして再生させることに取り組み、社員のモチベーションを上げ、『危』は『機』なりと、みな同じ条件にあるのだから、今までできなかったことにチャレンジしたい」と語った。
また同社の新滝有紀子業務室長が「お客さま満足度向上のために」をテーマに講演。全社員がサービス理念を持ち、高品質旅館を目指し、(1)スマイル&クリーンキャンペーン(2)お客さまの声(アンケート)を最大限に活用(3)社内ミーティングの充実──を行っている事例を紹介。「当たり前のことを当たり前に繰り返すことの大切さ、そこから小さな感動、生きた言葉が社員から返ってきて、お客さま満足度につながる」と結んだ。
2日目は、「まだまだあるぞ! 販売対策50の方法」のテーマで、販売対策のヒントとなるさまざまな事例、手法をパネルディスカッション形式で、リョケンの浜荻仁志常務、向笠圭治取締役本部長、福地紀之本部長、佐野洋一本部長、鈴木正人主任研究員らの各氏から発表したが、厳しい現況だけに、熱心に聞き入る姿が目立った。
次回の旅館大学セミナーは、静岡県・浜名湖かんざんじ温泉「ホテル九重」で、12月15、16日に開催予定。
150人超が集まったセミナー