高級宿泊予約サイト「relux(リラックス)」運営のロコパートナーズ(東京都港区、篠塚孝哉社長)は11日、「reluxカンファレンス2016Tokyo Spring」を東京都千代田区の東京ステーションホテルで開いた。契約宿泊施設を中心として90社130人が出席した。
篠塚社長は冒頭リラックスの現況について紹介。「サイトへのアクセスの70%はフェイスブック経由。また、毎月約500件の旅行の問い合わせがLINEのビジネス向けサービス『LINE@』で入ってくる」と述べ、「新しいトレンドとの融合」を強調した。
営業を統括する塩川一樹取締役は、同社のあゆみについて「2013年3月にサービスを開始。契約施設数約800軒、会員数約30万人まで成長した」と話した。
セミナーではインターネット業界、観光業界から5人の講師が登壇。「LINEを使った次世代マーケティング(LINE上席執行役員・田端信太郎氏)」「シェアリングエコノミーの未来(スペースマーケットCEO重松大輔氏)」「訪日・国内の両旅行市場動向から見る観光創生の未来(じゃらんリサーチセンター主席研究員・加藤史子氏)」「世界から見た日本のおもてなしとは(サンカラニューヨーク代表取締役・佐藤二郎氏)」「進化し続ける旅館 これからの旅館のあり方(食べるお宿浜の湯代表取締役・鈴木良成氏)」の5講演を行った。
鹿児島県屋久島の高級リゾートホテル「サンカラホテル&スパ屋久島」(29室)と米国ニューヨーク郊外の古城ホテル「キャッスルホテル&スパ」(31室)を運営する佐藤氏は、「バトラー(執事)サービスを導入しているため、最も重視しているのは人材教育。全29室のスモールラグジュアリーホテルをスタッフ60人で運営している」とサンカラ流の運営スタイルを説明。
その理由の一つを「29室で1泊1室あたりの単価が10万円であれば、290室で1万円のホテルと売上は同じだ。29室は60人で運営できるが、290室は60人では運営できない」と明かした。さらに「数を売ることがサービスを売ることになるのか疑問。空間を売っているだけなのではないか」とし、「間口を広げてもリピーター化をしないと、常に一見さんを追い続けなければならなくなる」と述べて、スモールラグジュアリーホテルの強みを示唆した。
稲取温泉の「食べるお宿浜の湯」(51室)の鈴木社長は、「平日の個人客は、夫婦、カップル、女性2人くらい。この客層に喜んでもらえるように、95年から10年にかけて4回、合計39億円の設備投資を行い、95年に1万8千円だった客単価を約20年で2万8千円まで上げた」と10年間の取り組みを紹介。その上で5億円の設備投資が現在進行中と話した。
佐藤氏と同様に人材育成と顧客管理の重要性についても言及。4年制大学の新卒を積極採用することで総合的な戦力を年々強化。また、客室係は完全担当制にし、顧客カルテに詳細データを蓄積していくことで“フレンドリーでパーソナルなサービス”を実現。それらの結果、「極めて高いリピーター比率を確保している」と述べた。さらに「小さな宿は、トップと接客現場の距離が近いことが大事」と強調した。
現在の販路別集客比率については、直電話予約37%、自社サイト32%、OTA経由23%、一般旅行会社8%と紹介。大手旅行会社とは昔から契約していないとした。
篠塚社長