東京・上野の不忍池周辺の商工事業者らで構成される「しのばず和めぐり協議会」は4日、ワークショップ「しのばず界隈(かいわい)の魅力再発見」を上野区民会館で開催した。周辺商店街の事業者ら約30人が参加。街歩き観光を通して不忍池周辺に古くから伝わる歴史・伝統・文化を伝える「しのばず和めぐりサステナブル・ツーリズム準備事業」の説明などを行った。
同協会は、コロナ禍に助成金事業「Go to商店街」で「しのばず和めぐりまっぷ」を作成したことを契機に、周遊散策を中心とした観光を企画。台東区・文京区の区界を超えた周辺の伝統工芸店などを巻き込みながら活動を続け、今回東京観光財団の助成金事業に採択された。民間事業者が主体となった取り組みとして初の事例となったという。
同協会の藤井裕美子会長=写真=は事業に至るまでの経緯やこれから開始する事業内容を説明。今後は、周辺工芸展の見学・体験・物販を組み込んだモニターツアーを実施するほか、Google Mapの勉強会も開催。各事業者の情報をアピールする基盤を整備する予定と説明した。藤井氏は「しのばず界隈の歴史・伝統・文化を伝え、受け継がれる仕組みを作る。住民が誇りを持てる魅力的な街づくりを目指す」と事業の開始に向け意気込みを語った。
ワークショップでは、東京大学大学院都市デザイン研究室助教の永野真義氏が登壇。同エリアの街の魅力について歴史なども絡めて説明したほか、空きスナックを活用した文化プログラム「アーツ&スナック運動」などを紹介した。
後半には、同事業のツアー企画などをコーディネートした合同会社ぼたんのツアープランナー・中谷ゆかり氏が登壇し、観光をツールとした地域活性とサステナブル・ツーリズムに関する基礎知識について講演。コロナ禍後の観光が従来の物見遊山型から体験型にシフトしていることについて触れた上で、地域の身近な体験を観光コンテンツとして整備し、観光客を受け入れる地域側でそれらをコントロールする仕組みづくりが持続可能な観光に重要だと説明した。