萩山口信用金庫(山口県、椙山一生理事長)は8月20日、日本政策金融公庫山口支店および山口市、山口県よろず支援拠点と共に、事業者応援事例集の製作を発表した。3500部を4機関の窓口および市内観光案内所に置く。経営に苦しむ企業が伴走支援によって新事業に挑戦する姿を冊子化してPR。新規客の開拓と、他企業への触発を目的にコロナ禍の2021年度から毎年製作している。
ポストコロナで事業者の悩みはコスト増や実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済など新たな局面を迎えているが、事業者の挑む姿が「心に響き良い変化としてプラスされるよう願う」(椙山理事長)と取り組みを継続している。「ココロ+」の第4号は副題に「3密から世界の3へ」を掲げた。コロナ禍を乗り越え、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)で「2024年に行くべき52カ所」の3番目に山口市が選ばれたことが背景にある。山口市の事業者が経営難を克服し、新サービスで観光客を迎える意欲を示す。【記事提供:ニッキン】
第4号では4事業者への支援と新たな挑戦を紹介する。瑠璃光寺五重塔近くの土産物屋「長州苑」はコロナ禍で団体客が減り、萩山口信金の支援で事業再構築補助金を受け、個人客を主体とする店舗にリニューアル。飲む外郎(ういろう)や大内人形焼きなど新商品を手掛けたほか、山口市の「中小企業人材育成応援補助金」を活用してスタッフをスキルアップしてポップなどの自社制作を可能とした。
創業事例の「悦味屋かつおぶし」は、山口県よろず支援拠点が物件探し、食品表示、ロゴデザインなどをアドバイス。「『ニューヨーク・タイムズ』で取り上げられたお店の目の前を見つけた」(水岡希久子・山口県よろず支援拠点チーフコーディネーター)。日本公庫が支援し、「小規模から始めることを勧め、今では行列の出来るお店となった」(平野雅之・日本公庫山口支店長)。このほか瑠璃光寺五重塔の檜皮葺(ひわだぶき)工事を担う「ひわだや」などの取り組みを掲載した。
伊藤和貴・山口市長は「コロナ後に『ニューヨーク・タイムズ』に紹介されよいタイミングだった。山口市の伝統・文化の価値に基づいた事業者をこれからも応援していきたい」とあいさつした。
山口市内の事業者応援事例集を掲げる伊藤和貴市長(左から2人目)、椙山理事長(同3人目)など(8月20日、KDDI維新ホール)
【記事提供:ニッキン】