中国でツアーガイド資格試験の受験者が大幅増 複合型人材が人気に


 中国の2024年度全国ツアーガイド資格試験が11月23日に行われた。データによると、今年の受験者は31万人以上で、前年比大幅増となった。それは、今年に入り、「文化旅行ブーム」が生じていることを反映しているほか、旅行業界により多くの人が流れ込んでいることと中国の観光業発展の新たな動向を示している。

外国語を話せるツアーガイドが引っ張りだこに

 今年に入り、中国がビザ免除措置対象国の範囲を拡大しているのを背景に、インバウンド客が大幅に増加している。データによると、今年1-9月期、中国のインバウンド客は前年同期比78.8%増の延べ9462万8300人に達した。中国旅游研究院は、今年のアウトバウンド客は延べ1億3000万人に達すると予測している。インバウンド・アウトバウンド客のために、十分な数の外国語を話せるハイレベルなツアーガイドを確保するというのが、観光の質を向上させるために重要な要素となっている。

 旅行会社の中青旅遨游公司はアウトバウンド業務をメインとしており、ツアーガイドチームのうち、海外旅行用のツアーガイドが80%を占めている。

 同社の韓傑董事長は、「外国語を流暢に話すことができるというのが、ツアーガイドに対する基本的な要求。ツアーガイドになるためには、少なくとも英語などの外国語を1つは習得していて、外国のツアーガイドやホテルのスタッフ、交通機関などとスムーズに意思の疎通を取ることができなければならない。また、外国語を使って基本的な交流ができるほか、旅行先でよく使われている方言や簡単な現地の言葉も習得する必要がある。アウトバウンド業務が拡大するにつれて、北欧や東欧、中央アフリカ、東アフリカなどへ向かう旅行のツアーガイドが不足している」としている。

 中国旅行社協会・ツアーガイド専門委員会の孫桂珍会長によると、現時点で、中国の資格を取得したツアーガイドは約66万人いる。うち、中国語でガイドするツアーガイドが全体の91.6%、外国語を話せるツアーガイドが8.4%を占めている。その数字を見ても、外国語、特に少数言語を話せるツアーガイドが不足していることが分かる。

 しかし、こうした局面も間もなく一変する可能性がある。なぜなら、今年の全国ツアーガイド資格試験では、外国語を話せるツアーガイドの部門の受験者が大幅に増加したというのが大きな特徴となったからだ。例えば、福建省では、外国語を話せるツアーガイドの部門の受験者が前年同期比180%増以上の531人(英語、日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、朝鮮語など)だった。海南省は前年同期比90%増以上だった。

新たな業態誕生で求められる複合型人材

 今年、江蘇省でツアーガイド資格試験を受験した90後(1990年代以降生まれ)の向さんによると、試験会場には、在学中の大学生がたくさんいただけでなく、すでに就職している人も多かったと言い、「私も今は文化系の仕事をしていて、旅行が大好き。ツアーガイドの資格が取れたら、転職する時の一つの武器になるだろう」と話した。

 近年、中国の国内旅行市場が日に日に多様化し、研学旅行や親子旅行、スポーツ観戦旅行、現地の風俗慣習を体験する旅行といった細分化された分野が発展して成熟し、さらに多くの関連の分野の従事者が必要になっている。

 向さんは、研学旅行の成長を見込んでいる。そして、ここ1年、ツアーガイド資格試験の受験を進めながら、たくさんの資料をチェックしたほか、幾つかの研学機関にも連絡したという。

 「ある研学機関の新入社員募集要項には、教師の資格、ツアーガイドの資格、応急手当の資格所持者が含まれていた」とし、こうしたハードルをクリアするために、ツアーガイドの資格を取得することにしたのだという。

 中国社会科学院旅游研究センターの特約研究員・王笑宇氏は、「中国の国内観光市場は観光から、テーマ別のレクリエーション・バケーションへと移行しており、団体は小規模化し、オーダーメイド旅行が人気となるというのが大きな特徴となっている。そのため、ツアーガイドは、個別の要求に基づいてオーダーメイドのサービスを提供しなければならなくなっている」と分析する。

 新たな業態が誕生しているのを背景に、旅行業界の従事者に対する要求が高まっており、旅行会社は、複合型のツアーガイドを好むようになっている。そして、ツアーガイドがコースの設定や調整、コミュニケーションといった業務もこなすというのが常態化している。

文化を伝える新時代のツアーガイド

 その他、近年、「文化テイスト」溢れる旅行の人気が日に日に高まっている。ツアーガイドは、旅行関連の知識を習得しているだけでなく、文化的素養を高めるなど、スキルアップし続けなければならなくなっている。ソーシャルメディアでは、知識に富み、奥深い文化を解説できるツアーガイドが話題となり、観光客やネットユーザーの間で人気となっている。

 中青旅遨游公司で欧州に向かうツアー客のガイドを務める張毅さんは、「今のツアーガイドは、観光スポットの説明ができる人というよりは、文化の伝達者となっている」としている。

 

(記事提供:人民日報海外版日本月刊

 

 
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