中学校の修学旅行 重点を置いた活動 1位「遺跡、史跡、文化財、寺社などの見学」 日本修学旅行協会調査


 日本修学旅行協会は、2021年度に実施された全国の中学校、高等学校の修学旅行の実態などをまとめた「教育旅行年報 データブック2022」を22年12月に発行した。その中から中学校が国内修学旅行で「重点を置いた活動」について報告している部分を抜粋して紹介する。

 今回の調査は、国立、公立、私立の中学校1万76校から3046校を抽出して行った。回答は895校(回答率29.4%)からあり、その内訳は国立15校(同22.1%)、公立707校(31.6%)、私立173校(23.3%)である。

 「重点を置いた活動」については、上位10位までは前回調査と比べてほとんど変動がなかった=図表1。また、全体を見ても順位の大きな変動がなかった。

 

 今回の調査でも旅行先の第1位は京都府であり、その結果、重点を置いた活動は、「遺跡、史跡、文化財、寺社などの見学」が連続第1位となっている。実施率は前回39.0%から今回48.5%と9.5ポイント上がっている。

 コロナ前の前々回調査から大きく順位を上げたのは、3位「水族館、動物園、自然・科学系博物館などの見学」、4位「自然や野外活動体験」、7位「その他のスポーツ」、9位「震災学習、防災学習」、10位「環境学習」などである。背景としては、コロナ対策として屋外の活動が好まれたことや、方面変更などにより事前準備ができないため、水族館や博物館が変更先として選択されたことが推察される。「震災学習、防災学習」「環境学習」は、東日本大震災から10年がたって改めてそこからの学びに取り組もうとしている学校や、SDGsを意識した未来へつながる学びに取り組もうとしている学校が増加している傾向と思われる。

 前々回調査より順位を下げたのは、11位「寺社などでの体験」、13位「職場訪問、職場体験など」、18位「ミュージカル、演劇などの観賞」、23位「歌舞伎、文楽、能楽などの観賞」、25位「いなか暮らし体験」などである。「職場訪問」や「いなか暮らし体験」は、感染懸念により受け入れ中止にした企業や地域が多かったこと(平和学習でも、広島平和記念資料館などの施設が入場制限となった時期があった)、「ミュージカル、演劇などの観賞」は、劇場側の団体の受け入れ制限や学校が長時間の団体での室内観賞を避けたことが影響している。

 その他の内容としては、思い出づくり、テーマパークでの活動、テーブルマナー講習などがあった。

 重点を置いた活動について分類別にまとめたものが、図表2である。

 

 史跡、街並み、産業遺産、博物館の見学などの歴史学習に重点を置くものが36.2%(前回32.4%、前々回41.5%)と毎年1位となっている。コロナ前より比率が上がっているのは、野外活動、環境学習などの自然・環境・科学学習20.7%(前回22.6%、前々回6.9%)、伝統工芸、料理、食品加工などのものづくり体験9.3%(前回9.3%、前々回5.9%)、スポーツ体験7.5%(前回8.5%、前々回3.9%)などである。

 一方、芸術・文化体験4.2%(前回5.3%、前々回10.4%)、平和学習5.9%(前回4.8%、前々回8.6%)、農山漁村体験1.9%(前回2.3%、前々回3.7%)などの比率がコロナ前の前々回調査より下がった。

 


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