中小企業庁はこのほど、「中小企業景況調査」の今年1〜3月期分を公表した。同期の中小企業の業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス17.8で、前期(昨年10〜12月期)のマイナス19.4から1.6ポイント上昇した。業種別では、宿泊業がマイナス8.4で、前期のマイナス11.9から3.5ポイント上昇。調査では中小企業の景況を「持ち直しの動きを示しているものの、一部業種に足踏みが見られる」とした。
調査は全国の中小企業1万8949社に行い、このうち1万8251社から有効回答を得た。
全産業の業況判断DIは2期ぶりの上昇。製造業、非製造業ともに上昇した。
非製造業では、宿泊業が2期連続で上昇。飲食業、卸売業、小売業も前期比上昇した。
来期(今年4〜6月期)の見通しは、全産業が今期比1.9ポイント上昇のマイナス15.9。このうち宿泊業は同7.8ポイント低下のマイナス16.2。小売業は同4.0ポイント上昇のマイナス26.6。飲食業は今期と同水準のマイナス15.7。
都道府県別の業況判断DIは、26都道府県で前期比上昇、19府県で同低下、2県で前期並みだった。
前期比で大きく上昇したのは、徳島県(12.7ポイント増のマイナス11.5)、山梨県(8.8ポイント増のマイナス13.1)、島根県(7.2ポイント増のマイナス18.0)など。
DI値が高いのは、沖縄県(マイナス1.0)、兵庫県(マイナス9.4)、埼玉県(マイナス10.5)など。
調査対象企業の主なコメントは次の通り。
「円安で外国の方が増加傾向であり、国内旅行の活発な動きが感じられる。お客さまの声を聞き、喜ばれる施設作りに努め、評価を高め、そして継続していくことが大事と考える」(宿泊業、神奈川県)。
「北陸新幹線開業前効果(マスコミ等での情報発信)もあって、問い合わせも年が明けてから非常に多くなってきている。3月の開業に期待したい」(宿泊業、石川県)。
「消費税増税後、経費をかけて来店促進をしないと客数の減少が顕著で、前年並みの売り上げ確保が難しくなっている。お客さまの財布のひもが締められている感じがする」(小売業、茨城県)。