日本政策金融公庫はこのほど、今年下期(7〜12月)の中小企業の景況見通しについて、調査結果を公表した。同期の中小企業の業況判断DIは3.9で、今年上期から3.4ポイント低下する見通しだ。需要分野別では、7分野中、5分野が低下の見通し。特に乗用車関連の低下幅が大きい。経営上の不安材料として、「原材料価格、燃料コストの高騰」「為替相場の変動」などの割合が上昇している。
調査は6月中旬、3大都市圏の同公庫取引先900社に行い、599社から有効回答を得た。
業況判断DI(前年同期比で改善とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値)は、今年上期が7.3。今年当初の見通しから3.6ポイント上昇したが、下期は低下した。
7つの需要分野別では、乗用車関連が3.3で、上期の52.5から大幅に低下した。食生活関連は3.2から22.2、家電関連はマイナス18.5から0.0にそれぞれ上昇した。このほか、建設関連、設備投資関連などで低下した。
同期の売上高DI(売上高の見通し)は、今年上期から6.5ポイント低下の2.7。
経常利益額DIは、今年上期から1.2ポイント低下の2.9。
経営上の不安要素(3つまでの複数回答)は、「国内の消費低迷、販売不振」が74.2%と、最も高い回答率を示した。ただ、率は昨年調査に比べて3.2ポイント低下している。以下、「原材料価格、燃料コストの高騰」42.7%、「海外経済の減速による輸出減少」24.3%、「取引先の海外生産進展」24.1%、「為替相場の変動」22.3%、「人材の不足、育成難」21.2%、「製品、サービス価格の低下」18.4%の順。原材料価格の高騰は昨年調査から3.2ポイント、為替相場の変動は同3.1ポイント、それぞれ上昇している。
経営基盤の強化に向けて注力する分野(3つまでの複数回答)は「営業・販売力の強化」が73.9%と首位。以下、「販売価格引き上げ、コストダウン」38.3%、「人材の確保・育成」35.8%、「技術・研究開発の強化」23.0%、「財務体質の強化(借入金返済等)」22.7%──などが挙がっている。