中小企業庁はこのほど、中小企業景況調査の4〜6月期分を公表した。同期の中小企業の業況判断DI(前期比で好転とした企業割合から悪化とした企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス18.7で、前期(今年1〜3月期)から0.9ポイント悪化した。業種別では、宿泊業がマイナス14.0で、同5.6ポイント悪化。売り上げが伸びているものの、経費の高騰で収支が改善していなかったり、労働力の確保が困難になっているなどのコメントが寄せられている。
宿泊業のDI悪化は昨年7〜9月期以来3期ぶり。ただ、来期(7〜9月期)はマイナス4.4と、今期から9.6ポイント好転の見通し。中小企業全体もマイナス14.5と、今期から4.2ポイント好転の見通しだ。
業種別ではこのほか、飲食業がマイナス17.6で、同1.9ポイント悪化。対個人サービス業がマイナス20.4で、同0.4ポイント好転。小売業がマイナス29.7で、同0.9ポイント好転。
47都道府県別では、26県で前期比好転、21都道府県で同悪化した。最も好転したのが鳥取県の10.5ポイント増。最も悪化したのが千葉県の6.5ポイント減。
またDI値が最も高いのが沖縄県のマイナス1.1。最も低いのが秋田県のマイナス26.6。
調査対象企業の主なコメントは次の通り。
「消費税増税、円安等の影響で経費、仕入れが上昇し収益を圧迫している。また、箱根の地震の影響で短期的に業況の悪化が見込まれる」(宿泊業、神奈川)。
「新幹線開業による業況の改善はみられるものの、労働力の確保が困難になってきている。見越して新規雇用したが、熟練従業員の確保が追いついていない」(宿泊業、石川)。
「円安、ビザ発給緩和、税制優遇などインバウンド向け方策の効果は大きく、東南アジアを中心に外客が大きく伸び、全体の稼働を引き上げている。売上高は伸びても諸経費高騰により収支は一向に上昇していない」(宿泊業、滋賀)。
「前年度に比べて状況は良くなっているが、過去に例をみないほどに人材確保が困難になっていて、人がいなさすぎて客入り制限をかけている日があるのが大変残念」(飲食店、兵庫)。
「従業員の確保もできず、仕事量の低下、単価の低下と危機的な状況になってきている。投資をしようにも明るい兆しもなく、手の打ちようがない状態」(対個人サービス業、山口)。
「今年は天候不順も重なり、食料品だけでなく野菜なども高騰しているため、例年以上に厳しい夏になるのではと懸念される。少しでも売り上げにつながるよう、お客さまにとって魅力のある商品を考えていきたい」(小売業、山梨)。