九州国際大学(福岡県北九州市)は10月31日、第3回観光シンポジウム「韓国から、人を呼ぶ」を同大KIUホールで開いた。国際関係学部に今年観光ビジネスコースが開設されたことを記念した第3弾。
基調講演は、韓国・漢陽大学校観光学部名誉教授の孫大鉉氏(韓国Slow City本部理事長)が「観光の新潮流—韓国の視点から—」と題して行った。
孫名誉教授は「韓国では、1990年代に比較的豊かな経済環境のもとで大学生活を過ごしてきた人々をXダディーと呼び、個性が強く、脱権威主義の新世代と位置付けており、これからの観光を牽引していくのも彼らが中心になる」と指摘。
さらに「今後は、自然に対し負荷が少ない低炭素旅行などのスロー観光が主流となる」とし、ゴミを捨てない、現地の文化や人を尊重するといった責任観光の重要性についても提言した。
「九州インバウンド戦略」をテーマとしたパネルディスカッションでは北九州市産業経済局観光部長の佐々木正明氏、スターフライヤー代表取締役常務執行役員・営業本部長の高橋信氏、九州国際大学准教授の崔錦珍氏が登壇し、同大教授の福島規子氏が進行役を務めた。
佐々木氏は、北九州市が周辺地域と連動して広域観光を目指す一方、産業観光など新しい観光資源の開発にも力を入れていることを報告。高橋氏は、韓国では北九州の知名度が低いことを指摘し、北九州を拠点とした周遊観光ルート開発の重要性を強調した。一方、崔氏は、北九州と周辺の観光地域を連動させたイメージ戦略が韓国訪日客誘致の鍵を握るとした。
同シンポジウムには市民、高校教諭、大学生など約300人が参加。九州インバウンドへの関心の高さがうかがえた。
講演する孫名誉教授