【交通トレンド分析246】近距離列車でQRコード乗車券 鳥海高太朗


 JR東日本など首都圏の鉄道8社が5月29日に裏面が黒色になっていて、改札機に投入する形の磁気きっぷについて、2026年度末以降にQRコードを使った乗車券に順次置き換えることを発表した。最近では「Suica」や「PASMO」「ICOCA」などの交通系ICカード乗車券(以下交通系IC)が主流になっており、ICカード専用の改札口も増えている。磁気きっぷについては、きっぷで購入した場合には簡単に自動改札にきっぷを入れるだけで済むが、以前からメンテナンスについてのコストがかかるデメリットがあった。きっぷ投入口からきっぷ受取口までを詰まることなく瞬間的にデータを読み取りながら、人間の歩くスピードに合わせて受取口から受け取る必要があるほか、出口ではきっぷが回収されることから、駅員が回収した切符を回収することも必要となっている。

 ただ冒頭でも触れたが、最近では交通系ICが定着したことで、駅で短距離列車のきっぷを購入する人は大幅に減ったことに加えて、QRコード(2次元バーコード)が日常生活にも定着したこともあり、自動改札機にQRコードの読み取り機を設置することで、利用者は磁気きっぷに比べて若干時間を要するが、メンテナンスコストを大幅に削減することが可能となるのだ。既に磁気きっぷを廃止して、QRコード乗車券を導入し、交通系ICも使えるのが沖縄の「ゆいレール」であるが、特段不便に思うこともなく、磁気きっぷを廃止しての影響はない。

 海外の地下鉄では、交通系ICカード(ロンドンのオイスターカード)、磁気カード(ニューヨークのメトロカードなど)に加えて、クレジットカードのタッチ決済で乗車できるケースが増えている。ロンドンやニューヨークでは、日本発行のクレジットカードでもタッチ決済のクレジットカードであれば(VISAタッチやAMEXなど)、現地のICカードを買わなくてもそのまま自分のカードをタッチ(もしくはスマートフォンにカード情報を入れていればスマホでも可能)で乗車できる。

 日本国内でも福岡市地下鉄では全駅に導入し、さらに1日あたり640円を超えると、1日乗車券が適用され、それ以上は運賃が徴収されない仕組みになっている。クレジットカードのタッチ決済は世界で標準規格が確立されていることもあり、日本を訪れる外国人観光客(インバウンド)にとっても利便性が高い。まだJRはタッチ決済導入についての言及はないが、地下鉄、私鉄においては、交通系IC、タッチ決済、QRコード乗車券が主流になりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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