日本政策金融公庫が昨年11月、3大都市圏の中小企業に行った2009年の中小企業景況見通しに関するアンケート調査によると、今年(09年)の業況見通しは、前年比で悪化を見込む回答の割合が大きく上昇し、半数近くの49.1%が回答した。経営上の不安要素として、前年の「原材料価格・燃料コストの高騰」に代わり、「国内の消費低迷・販売不振」を挙げる声が増えた。今年注力する分野は「営業・販売力の強化」が多くを占めている。
今年の業況見通しを「悪化」とした回答は49.1%で、前年の15.5%から大きく上昇した。半面、「改善」は前年の24.4%から13.6%、「横ばい」は同60.1%から37.3%と、それぞれ減少している。
企業の需要分野別では、特に乗用車関連が厳しい見通しで、70.7%が悪化と回答(前年18.8%)した。このほか、設備投資関連の64.1%(同16.0%)、家電関連の55.3%(同9.8%)、建設関連の51.4%(同18.9%)、食生活・衣生活関連の29.4%(同13.8%)が悪化と回答した。
経営上の不安要素を複数回答で聞いたところ、「国内の消費低迷・販売不振」が最も多く、85.5%の企業が挙げた。これは前年の60.8%を大きく上回っている。前年最も多かった「原材料価格・燃料コストの高騰」は36.4%で、前年の73.6%から大きく減少した。このほか今年の不安要素として「取引先の経営不安・経営破たん」(34.1%、前年12.8%)、「金融動向(金利上昇、調達難)」(32.3%、同30.7%)、「海外経済の減速による輸出減少」(22.9%、同12.6%)などが挙がった。
経営基盤の強化に向けて注力する分野は、「営業・販売力の強化」が最も多く、75.0%が回答。前年の69.5%から上昇した。このほか、「販売価格引き上げ、コストダウン」(43.0%、前年48.8%)、「人材の確保・育成」(31.2%、同36.2%)、「財務体質の強化(借入金返済等)」(29.9%、同26.7%)、「技術・研究開発の強化」(26.9%、同26.7%)が上位を占めた。