仮想空間のセカンドライフ、旅行会社が活用方法模索


 世界中で約1千万人が利用登録しているインターネット上の3D仮想空間「セカンドライフ」。7月には日本語版も登場し話題を集めた。百貨店など各種企業が空間上に出店、参入する中、旅行会社もセカンドライフを活用した新サービスの提供や旅行商品の販売促進策を検討、その可能性を模索している。

JTB 外国人に日本紹介
 JTBは15日からセカンドライフに出店した。出店ブース「JAPANTRAVELGUIDEJTB」(http://slurl.com/secondlife/JAPAN TRAVELGUIDEJTB/185/173/22)はJTBグループで訪日外国人専用サイトを運営する「JAPANiCAN」が運営。旅館、足湯、日本庭園、未使用の4つのエリアがある。いずれも英語対応で、外国人への日本文化の紹介とJAPANiCANのWEBサイトへの誘導を狙う。

 旅館エリアではお風呂の入り方や料理の食べ方など、日本文化についての5種類の情報を英語入り映像で紹介する。バーチャル旅館の大広間では、オリジナルの「JAPANiCAN音頭」をアバター(自分の代わりとなるキャラクター)が踊って楽しめる。足湯エリア=写真=では、日本列島の形をした足湯に各地方の案内板を配置、JAPANiCANのサイトへ誘導する。また未使用エリアは訪日外国人向けの販売、広告プロモーションの場とし、JTBグループ以外にも広く販売する。

 「日本企業としては珍しい、外国人対象」と同社。07、08年度合わせて5万人の集客を目指す。

HIS 商品の決済も視野

 JTBに先駆けて6月にセカンドライフへ出店したHISは、日本人向けに日本語でサービスを提供する。当初月間1千人の利用者を見込んでいたが、リリース当初の盛り上がりに対し現在は1日に10人程度の利用。「今後は特別商品の紹介など、イベントスペースとしての活用を進める」と同社eビジネス事業部。

 同社のセカンドライフ店では自社のオンライン予約サイトへリンクを貼っているが、今後の提供サービスとして、セカンドライフ内通貨「リンデンドル」を使った旅行商品の決済なども視野に入れる。リンデンドルは米ドルに換金可能だが、現在同社では日本円でカード決済できる方法も含め検討を始めており、「旅行取扱額の算出方法や、法的な問題などがクリアできれば、決済サービスをスタートする」(同社)。

KNT 空間内イベント活用
 空間内イベントを活用するのはKNTだ。同社がプラットフォーム戦略で提携する角川クロスメディア提供のセカンドライフ内サービス、「バーチャルワールドウォーカー」内で、人気アイドルと一緒にセカンドライフの仮想世界をまわるバーチャルツアーを催行する。

 17、18日の両日に開くイベント「バーチャルワールドサミット2007」に合わせたもの。実在のKNT社員のアバターがツアーに添乗し、仮想世界の見どころを案内する。アイドルの時東ぁみさんもアバター姿でツアーに同行する。

 KNTの野中雅彦eビジネスカンパニー本部長は「セカンドライフの可能性はいろいろと考えられるが、出店などはしばらく検討が必要。今回のような形での活用方を探っている状況だ」と慎重な姿勢を見せる。

 
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