帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の11月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月と同水準の44.8だった。「国内景気はこう着状態となっている」と同社。業種別では、旅館・ホテルが前月比2.3ポイント減の59.1と、2カ月ぶりに低下した。
10の業界別では、建設、運輸・倉庫など4業界が改善。卸売、小売など4業界が悪化。製造とサービスの2業界が横ばいとなった。
サービス(49.6)は旅館・ホテルのほか、飲食店(3.0ポイント減の46.2)、人材派遣・紹介(2.2ポイント減の52.5)など6業種で悪化。リース・賃貸(1.2ポイント増の49.2)など7業種で改善。娯楽サービス(38.0)など2業種で前月並みだった。
運輸・倉庫は同0.7ポイント増の45.4と、2カ月ぶりに改善。ガソリンや軽油など燃料価格が低下し、コスト負担の軽減が進んだことなどが影響したとみられる。
小売は同0.7ポイント減の40.9と、3カ月連続で悪化。魚介類の価格上昇で飲食料品小売、ウインドウズXPのサポート終了に伴う駆け込み需要の反動減が続いている家電・情報機器小売など9業種中4業種で悪化した。
地域別では、10地域中5地域で改善、3地域で悪化、2地域で横ばいだった。
北関東は同0.5ポイント増の43.8と、2カ月連続で改善。自動車小売やガソリンスタンドなどの専門商品小売が大きく改善し、2014年3月以来1年8カ月ぶりに域内5県全てが改善した。
北海道は同0.5ポイント増の39.8と、4カ月ぶりに改善。アジア圏からの航空便が好調な運輸・倉庫で大幅に改善した。
近畿は同0.3ポイント減の42.3と、4カ月連続で悪化した。サービス業、小売業など個人消費関連の景況感が悪化した。
規模別では、大企業が48.4、中小企業が43.7と、ともに前月と同水準だった。中小企業のうち、小規模企業は同0.1ポイント減の43.1。
企業の景況感の主な回答は次の通り。
「京都は観光客の増加によりホテル建設が増えており、好況感がある」(現在、良い、建築)。
「インバウンドによる関連商品の売れ行きが良い。また昨年の消費税率アップによる売り上げ減の反動で今年は良くなっている」(現在、良い、日用品・雑貨卸)。
「観光業を行うにあたり、紅葉期間は特に好天に恵まれ県内外から多数の観光客が来てくれた」(現在、良い、食料品小売)。
「パリでのテロが影響し海外渡航者が減少している」(現在、悪い、海外旅行手続き受託)。
「北海道人気がアジア圏では崩れていないことにより直行便の本数が増えたため、今後も需要が見込める」(先行き、良い、貸切旅客自動車運送)。
「プレミアム商品券の引き換え期間終了に加え、冬期間に向けて例年より暖房費・電気代の上昇が見込まれる」(先行き、どちらでもない、飲食店)。
「パリでの同時多発テロの影響により、海外との人的交流の減少が半年は続くと見込んでいる」(先行き、悪い、旅行)。