帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の10月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0・4ポイント増の43・3と、2カ月連続で改善した。「個人消費の伸び悩みが続く中、建設や自動車生産がけん引」と調査。業種別では旅館・ホテルが同0・4ポイント増の49・4と、2カ月ぶりに改善した。
10の業界別では、建設、製造、サービスなど6業界が改善。小売、農・林・水産など4業界が悪化した。
建設は同0・5ポイント増の48・6と4カ月連続で改善。北海道や東北を襲った台風被害、発生から半年が経過した熊本地震の復旧工事が活発化していることに加え、農業基盤整備関連の予算執行など年度後半に入って公共工事が増加した。
製造は同0・9ポイント増の42・7と2カ月連続で改善。熊本地震や燃費不正問題で落ち込んだ自動車生産が回復する中、自動車部品製造で好調が続く輸送用機械・器具製造などの業種でDIが上昇した。
小売は同1・8ポイント減の37・5と2カ月ぶりに悪化。天候不順の長期化による食材高騰、原油価格上昇が響き、飲食料品小売、専門商品小売などの業種でDIが悪化した。
サービスは同0・2ポイント増の48・1と2カ月連続で改善。旅館・ホテルのほか、電気通信、リース・賃貸などの業種でDIが上昇した。
10の地域別では、6地域が改善した。このうち北海道は同1・1ポイント増の42・1と4カ月連続で改善。災害復旧工事などの影響を受けて建材・家具、窯業・土石製品卸売などの業種でDIが上昇した。
東北は同1・1ポイント増の44・7と、2カ月連続で改善。震災復興、台風被害からの復旧工事が進んでいる建設などの業種でDIが上昇した。
北陸、東海は同0・1ポイント、四国は同0・5ポイント、DIが悪化した。北関東は横ばいだった。
景況感について、企業の主な声は次の通り。
「北海道新幹線効果により観光客が増加」(現在、良い、菓子・パン類卸売)。
「広島カープのリーグ優勝、CS突破で地元は活気づいている」(現在、良い、食料・飲料卸売)。
「道内では観光入り込み客が伸びており、札幌市内・千歳空港近隣にホテルの新築が目立っている。道内の一部地域では台風の甚大な被害があり、災害特需が発生すると思われる」(現在、どちらでもない、ごみ収集運搬)。
「中国の関税引き上げの影響で、訪日外国人団体客の動向に弱含みが出てきた」(現在、悪い、旅館)。